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- 歯科と栄養
- 2017.03.15
むし歯を防ぐ食生活
歯が痛んで歯医者に駆け込んだら、むし歯が見つかった・・・という経験は、多くの人が一度くらいは経験したことがあるのではないでしょうか。歯磨きが私たちの生活に根付き、むし歯の発生数は全体として減っているものの、平成23年の厚生労働省の調査によると、20歳以上85歳未満の年代でむし歯がある人の割合は、依然として80%以上を占めています。予防策として歯磨きが大切なのはもちろんですが、それ以上にむし歯のリスクを左右するのが食生活。特に「砂糖」との付き合い方が重要です。
砂糖をやめれば、むし歯もなくなる?
むし歯は、むし歯の原因菌が作る酸で歯が溶かされることによってできる、細菌性感染症の一種です。口の中に住むむし歯菌が酸の生成に利用できるエネルギー源はおもに砂糖(発酵性の糖質)です。したがって、むし歯菌が好む糖を摂らなければ、むし歯になるリスクも格段に減らすことができます。
むし歯の予防策としてWHOのガイドラインでは、砂糖(蜂蜜や果汁を含む)の摂取量を一日のエネルギー摂取の5%以下にすることが推奨されています。これは一日につき約20g、ティースプーン5杯分にあたります。日本では、砂糖の摂取量について明確に定められていませんが、少なくとも歯科では「3歳までは甘いものを与えない」ことが、その後のむし歯リスクを抑えるために重要とする共通見解があります。
砂糖のコントロールの基本は、摂取源のメインであるお菓子の選び方です。砂糖が多く含まれ、かつ口の中に長くとどまるもの、歯に付着しやすいものが最もハイリスクです(たとえば飴、キャラメル、チョコレート、ケーキ、クッキーなど)。また、砂糖濃度の高い炭酸飲料やジュースも要注意です。コーラはペットボトル一本(500ml)に57g(角砂糖14個分)、ヘルシーなイメージのある100%オレンジジュースでも100mlに11gと、コーラとあまり変わらない量の砂糖が含まれています。また、生の果物は比較的リスクが低く、すすめられますが、濃縮果汁やドライフルーツには気を付けましょう。もちろん、ローリスクのものでも食べた後の歯みがきは必須です。
だらだら食べはNG! 食事は規則正しく
もう一つポイントがあります。それは「食べ方」です。口の中は常時ほぼ中性に保たれています。食事をすると一時的にむし歯になりやすい酸性の状態になりますが、唾液の効果によって、時間が経つと中性に戻ります。しかし、だらだらと食べ続けると、いつまでも口の中は酸性のままになり、むし歯のリスクは高まるのです。歯を守るには、食事やお菓子を食べるタイミングをきちんと決めて「食べない時間」を作ることも大切です。
むし歯を予防し自分の歯を残したいすべての人にとって、砂糖との付き合い方は重要です。そして、その内容は「選び方」と「食べ方」と極めてシンプル。一度、むし歯予防の視点でどんなお菓子が多いか、どんな食べ方が多いか、自分や身近な人の生活に目を向けてみください。
参考文献
平成23年度歯科疾患実態調査報告 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/62-23.html
永久歯の抜歯原因調査報告書 8020推進財団
http://www.8020zaidan.or.jp/pdf/jigyo/bassi.pdf
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道盛 法子
予防歯科で働く管理栄養士です。 新卒で3年ほど出版社で編集・記者として勤務し、その後予防の活動に現場で関わりたいとの思いから転職しました。歯科は、すべてのライフステージに関わることができ、食を切り口にした予防活動にも最適な場だと感じています。 管理栄養士の視点で歯や口のあれこれをお伝えできればと思います!
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