超高齢化社会となった日本
今、日本の人口は高齢化が進み、65歳以上の人口が総人口に対して21%を超える超高齢化社会となりました。2015年の国勢調査によると、75歳以上の人口は総人口の「8人に1人」を占め、はじめて14歳以下の子供を上回りました(2016年10月27日 日本経済新聞)。
その様な社会のなかで、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように、国は地域包括ケアシステムの構築を推進しています。その中に介護予防があります。
介護予防の内容は歳を重ねていくと誰にでも訪れる体力の低下、身体機能能力の低下を最低限に抑え、健康長寿寿命を延ばすために運動・栄養・口腔の3つの柱で予防を目指すものです。
各地域では65歳以上の方を対象とした介護予防教室が実施されています。
介護予防の分野での栄養士の役割
介護予防教室の形は地域によって様々です。介護予防教室の中での管理栄養士としてのおもな仕事は栄養講座です。年配の方の中には粗食の方が健康によいと思っている方が多くいらっしゃいますが、高齢者の粗食は低栄養の一因となります。低栄養になることが良くないのはなぜか?など低栄養の予防についてわかりやすくお話しします。
ただ、教室に参加されている方は比較的お元気な方が多いため、活動量に見合ったバランスのよい食事の摂り方を指導することの方が多いです。低栄養予防も基本的にはバランスよく食べることに変わりはありませんので、栄養講座の内容としては他の世代と同じです。
地域によっては調理実習を行うこともあります。その際は1人暮らしの方向きのレシピや、男性でも手軽に作れるレシピを考えて一緒に作ります。調理実習は食への意欲を高めますし、料理は認知症の予防にもなりますので、調理実習付きの介護予防教室が増えるとよいと思います。しかし、地域によっては予算の関係などで難しい場合もあるようです。
地域行政の介護予防とは違うのですが、ある地域で高齢者の自主グループの料理教室の講師を受け持っています。管理栄養士2人で受け持っており、レシピ作成は交代で、会員の方がおいしく作りやすいレシピを季節感を取り入れて提案しています。先日行った教室ではクリスマスを意識した次の3品を作り、おいしくいただきました。
介護予防の仕事のやりがい
介護予防の中での栄養士の活動は、結果の見えにくい仕事です。しかし、利用者さんからの「ありがとう」という言葉が私のエネルギー源になります。先日も介護予防教室を終えられる方から「先生のおかげで食事のバランスに気をつけるようになりました。これからも続けますね。ありがとう。」とおっしゃっていただきました。私と関わった方が自分の食生活を意識して下さり、健康長寿年齢を延ばして元気に過ごしていただければうれしいと思って介護予防教室の仕事をしています。
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