介護老人保健施設の役割
介護老人保健施設(以下、老健)は、病院と自宅の中間的な役割を持っています。理学療法士や言語聴覚士等によるリハビリ体制が整っており、おもに入所者の在宅復帰を目的とした施設です。特別養護老人ホーム(以下、特養)のように終身制ではなく、入所者は平均して約半年程度で退所となります。
要介護1から入所が可能で、介護度の低い利用者の割合が多く、3か月ごとの入所判定会議で退所可能かを多職種で判断し、生活の自立に導きます。特養が介護をサービスの中心とした『生活の場』になるのに対し、老健は『リハビリの場』とも言えるでしょう。
老健での主な業務
老健は平均100床前後が最も多く、1日の総食数も300食以上の施設がほとんどです。そのため献立は、嚥下しやすいなどの他に、大量調理が可能か、時間内で調理が可能かなども考慮して作成する必要があります。決められた時間と予算内で安定した食事の提供が優先になり、きめ細かな個別対応は難しいのが現状です。その限られた条件の中で、偏食気味の方や低栄養の方に対して、どのようにケアしていくかが腕の見せ所とも言えるでしょう。
利用者個別の栄養ケアはBMIの推移、喫食率をおもに用いますが、リハビリの進度や意欲、睡眠なども他職種と情報共有し、退所に向けて総合的にバランスのよいケアを目指します。栄養指導については、在宅復帰後の食事について、おもにご家族への指導が多くなります。まずは主介護者のニーズをしっかり聞き出し、対応可能な提案をしなければなりません。栄養の専門知識よりも、市販品の紹介や、作り置きの方法など、より生活に密着したアドバイスが求められます。
老健の栄養士に求められること
食事が何よりも楽しみである高齢者には、クリスマスや土用の丑の日などといった行事食が大変よろこばれます。持病があっても、療養食にこだわらずに好きなものを食べさせてあげたい、と考えるご家族も少なくありません。高齢者やそのご家族の求める幸せの形は様々であり、『食』はその手段の一つであると捉えることが大切です。利用者とコミュニケーションをとり、栄養面だけでなく心のケアも考慮した食事が提供できる栄養士が必要とされるでしょう。
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