COLUMN

薬膳学と栄養学の相性

結論から言いますと、薬膳学と栄養学の相性は、「非常に良い」です。どちらも、食品そのものの良し悪しを決めつけないからです。

・栄養学は、その食品に含まれる栄養素がどれくらいあり、どんな生理作用があるかを見る学問です。

・薬膳学は、その食品の性質を見て、體(からだ)にどう影響するかを見る学問です。

かなり乱暴ですが、大ざっぱに言うとこんな違いでしょうか。どちらも食べ物を「良い」、「悪い」を決めつけるのではなく、人と食べ物の相性を見て、うまく縁結びしていく、そういった分野です。
似た側面もありますが、得意とする部分はそれぞれ異なります。

・栄養学は、栄養素などの分析で食品の構成を見るのが得意。

・薬膳学は、温める、冷ます、巡らす、などの性質を見るのが得意。

人間を診る場合、栄養学は身長や体重、血液データなどでその人の構成を判断するのに対し、陽気、温和などといった、その人の性格的なもので判断するのが薬膳学です。

栄養学と薬膳学で見る視点と角度は違いますが、どちらも大事なことです。人間は数値だけで動くほど単純ではありませんが、数字という分かりやすい判断基準があれば説得力があります。

ダイエットをする場合も、すらっと足が長く見えるようになりたいと言われるより「○号サイズの服が来られるようになりたい」とか「何キロ減らしたい」など、具体的な数字で言われる方が次の行動に進みやすいものです。

中医や薬膳の勉強を始めると、たちまち「アンチ西洋医学!」と鼻息を荒げてしまう人もたまにいますが、現代の文明と昔からの叡智を上手に取り入れてお付き合いしていけばいいのではないかと思います。

次回はいよいよ実践的な薬膳のお話です。

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みんなのコメント( 4

    • 大倉 あやこ
      2723日前

      コメントありがとうございます!
      私たち栄養士は、口にする物と人との相性を見て縁結びしていく存在だと思っています。
      人によって良いものも人によっては合わないものもあり、それはその物自体の良し悪しではなく、食べ物が持つ個性ですので、イエス・ノーではなく、上手にお付き合いしていくバランス感覚が大事ですね。

    • ID: 56
      2724日前

      大倉さんのような切り口で考えたことがなかったので、なるほど!という感じです。
      薬膳のお話、楽しみにしています。

    • ID: 60
      2729日前

      なるほど、現代文明と昔からの英知を上手に取り入れればいのですね。次の薬膳の話も楽しみにしています。

WRITER

大倉 あやこ

中医学の本場中国、上海中医薬大学にて中医内科を専攻した後、現地の国立病院で糖尿病の外来の営養指導や現地在住の日本人に薬膳をレクチャー、ハーブティーブレンド開発・店舗経営などを経て、2014年に日本に帰国しました。 中医・薬膳の先生と聞くと少し別世界の人のように思われがちですが、厳しい事や細かい事はとても苦手な、美味しい物が大好きな酒のみ栄養士です。 「食」は「人を良くする」ものです。 研修医時代、「この人は食をきちんとしていたら病院に来なくても良かったのに」というような患者さんを沢山診てきた経験から、「病院に行かなくてすむ人を増やしたい」「病氣になっても回復が早まるように」と願い、【食医】」の道を選びました。 ぬる~い私でもできる薬膳ですから、きっと皆さまも楽しんで実践していけると信じて、誰よりも楽しんで活動・情報発信していきたいと思います。 薬膳を通じて沢山の人とご縁できる事を楽しみにしております。

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