水ばかりを飲んでも太るのはなぜ?
一般的には「ゼロカロリーの食品では太らない」ように思われていますが、実際にはカロリーがない水ばかりを飲んでいても太ったという体験を持つ人が多くいます。今回のコラムではカロリーを控えて水ばかりを飲んでいても太ってしまう理由を中医学の観点からご説明します。
津液(しんえき)の代謝トラブルが水太りの原因に
中医学では、血液以外の体内の正常な水分を総称して「津液(しんえき)」といいます。この津液の代謝や運行がスムーズに行われないと、むくみや水太りなどのさまざまなトラブルを引き起こします。これが水ばかりを飲んでいても、太ってしまう原因の一つだと考えられます。
津液の代謝低下の原因とは?
津液の代謝に関係の深い臓はおもに肺・脾(消化器)・腎で、原因はそれぞれですが、一番よく見るタイプは「脾虚(ひきょ)」と呼ばれる消化器系の機能低下によるトラブルです。中医学でいう脾とは、解剖学的な脾臓のことではなく、消化器系の一部とそれに関連する機能のことを指します。
脾は湿(湿気や飲食での余分な水分)を嫌う臓なので、湿がたくさん入ってくると働きが弱ります。脾が元気であれば湿を追い出せるのですが、冷えや病後などの弱った状態では追い出すパワーが不足し、湿をため込んでしまいます。これがいわゆる「水太り」です。ほんの一例に過ぎませんが、熱いものや冷たいもの、油もの、激辛や甘いものを好む人、湿度の高い地域で暮らす人、よく噛まない人に多く見られます。
このようタイプの人は、体力・栄養・代謝力などが不足しているため、食が細いのに太りやすく、水を飲んでも太ってしまいます。
脾虚を改善するには?
まずは胃腸に負担をかけない食生活を取り入れ、消化のいいスープやお粥、煮物などで體(からだ)を温めて栄養を補ってください。無理に水分補給を控えるのはやめ、温かい飲み物で代謝の力を上げましょう。水分補給は冷水ではなくお白湯がおすすめです。
體の湿気取りに効果のある食材は、はと麦、小豆、大豆、コーヒーなどの豆類、冬瓜やスイカなどの瓜類に多く見られますので、意識して取り入れてみましょう。
カロリーを控えていても、なかなか痩せられない、そんな心あたりがある方は、食生活改善の参考にしてみてください。
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