中医学と漢方医学の違い
中医学とは、中国伝統医学のことで、アーユルベーダ(インド伝統医学)やユナニ医学(ギリシャ・アラビア医学)とともに三大伝統医学として定義されたものです。
一方で漢方とは、中医学をベースに日本独自で発展してきた日本伝統医学のことです。
共通点も多いことから混在しているようですが、相違点も多くあります。このコラムでは、特に記載のない場合は「中医学」の考えをもとに連載させていただきます。
中薬(漢方薬)とサプリメントの違い
中薬は、あくまで「お薬」であり、主に治療目的で使用するものです。中国では冬前の風物詩「膏方」(ガオファン)と呼ばれるものがあり、健康維持の為に服用するサプリメントのようなイメージですが、これもきちんと医師が診察してオーダーメイドで処方し、服用期間も決められています。
もちろん「お薬」ですから間違えた使い方をすると、副作用が現れます。
原則として「専門家の指示のもとに使用するもの」が中薬です。中薬だから優しい、副作用がない、と思われがちですが、これは全くの誤解ですので注意しましょう。
中薬に対してのサプリメントは、「食品」です。
不足した栄養素を補う目的で使用するものであり、疾病の治療をするものではありません。
不足した栄養素のために現れていた不調がラクになることもありますが中薬もサプリメントも、初めて使用する際には「少量ずつ開始」することが思わぬ事故を防ぐコツです。
お水でさえ飲みすぎると逆効果になるのですから、お薬やサプリメント等も飲めば飲むほど効果が高まるものではありません。適量をきちんと守ることが効果を高めることにつながります。
ネット、友人の勧めなど、専門知識の無い人の体験談より、専門家にアドバイスを求めることも大切です。自分にとって必要なお薬、商品を選ぶようにしましょう。
中薬は効果が現れるのに時間がかかる?
中薬の中には西洋医学のようにすぐに作用するものも多くあります。日本では、慢性化したり、お薬で疲弊しきった患者さんが中医に向かったりすることが多く、治療に時間がかかってしまいます。
中医学は、中薬だけでなく鍼灸、推拿、カッサ、吸い玉などあらゆる角度からの治療法が充実しています。複合的なアプローチに富んだ分野ですので、相性が合えば比較的早い効果を実感することができます。
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