春に起こりやすい体の不調
春は五行学説でいう「木」の季節です。木には「のびのびと生長する」「昇発する」といった性質があります。まずは木の繋がりを見てみましょう。
木―春―青―酸―肝―胆―目―筋―怒―風など・・・
この繋がりから「春は風で肝が傷みやすく、目の充血などのトラブルや精神的に落ち着かない。スジが引きつったりしやすい。肝を傷めると怒りっぽくなり、また怒ってばかりいると肝を傷める」ということが読み取れます。
春は着る物にも注意が必要
春の特徴である「風」は、一カ所にとどまらず移動する、一定しない性質をもっています。風の影響を受けすぎると、気持ちの浮き沈みが激しくなったり、體(からだ)の熱が上がりやすくなったり、めまいやふらつき、痛みの場所がいつも違うなどの症状が出てきます。
中国の医古文『黄帝内経』には、「春は少しくらい夜更かしをしてもよいが、朝は早く起きること。朝にゆったりと散歩し、髪はきつく縛らずにほぐし、体をのびのびと動かすこと。適度な運動で陽気(體の熱)を発散させないと、夏に寒の病になる。」と書かれています。また、寒さが残るうちに急に薄着にならないように、ともあります。衣服の締め付けなどもあわせて、着る物の調整にも注意しましょう。
春の食事のポイント
春の食養生は、肝の働きを高める「酸味」を取り入れ、脾を守る「甘味」と合せるのがコツです。梅干しやかんきつ類、酢の物などの酸味と、お米やイモ類、果物などの甘味を活用しましょう。酸味と甘みを両方持つ甘酸っぱいトマトや果汁などもおすすめです。
また、春に芽吹く植物には、体内にこもった熱や老廃物を排出する働きを持つものが多いので、旬の味覚も意識して取り入れましょう。
肝は「怒り」の感情に左右されやすい臓器です。イライラすると、肝を傷め、余計にイライラしてしまう悪循環におちいってしまいます。香りの良いハーブや香辛料、フルーツなどでリラックスする時間も大切です。
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