寒くなると、體(からだ)が冷えて筋肉の柔軟性がぐっと低下し、急な痛みがあちこちに出やすくなります。中医学では、「寒い時は冷えを受け、暑い時は熱を受ける、乾燥の時は乾燥する。」というように、季節的要因や自然環境が、體の不調の原因になると考えています。中でも現代は「冷え」によるトラブルに年中悩まされている人も多いのが事実です。夏にはエアコンのきいた部屋で長時間過ごすことによる冷えや、冬でも氷の入った冷たいドリンクを飲むことによる冷えも要因の一つです。
「寒さ」には、凝結・滞る・収縮・牽引(けんいん)などの性質があり、體の中にある経絡の流れが悪くなると痛みが発生します。中医学で言う「不通則痛」(滞れば痛む)がこれにあたります。
肩こりや腰痛などの痛みにも色んなタイプがありますが、「冷えによる痛み」に関して言うと、単純に温めるとラクになります。正確な原因を特定するためには「どのように痛い?」「どうしたら軽くなる?」ということをしっかり診る必要があります。まずは1日に長く過ごす姿勢、運動不足、締め付ける服装や薄着、メガネの度数が合っているか、歯の噛み合わせ、歩き方や荷物を持つときの癖、枕の高さなどの生活面で注意できる事が無いかを見直してみましょう。
食事に関して言えば、體を温める食べ物を温かい状態でいただくことが大切です。寒くなると鍋物やおでんなどの煮込み料理が自然と食べたくなると思いますので、「食べたい」という気持ちにしたがうといいでしょう。
食材はなるべく旬の食材を取り入れることを意識し、秋は大根やれんこん、白きくらげ、豆腐、カリフラワーなどの白い色の食べ物。冬は黒きくらげ、ゴマ、海藻、しいたけ、黒豆などの黒い色の食べ物もあわせて取り入れてください。スープや煮物、鍋物など、温かい料理でていただくと良いでしょう。
體を温めると言われている主な食材は、にんにく、ネギ、生姜、たまねぎ、かぼちゃ、羊肉、鶏肉、えび、パクチー、唐辛子、シナモン、紅茶、などです。ピリッと辛味がある物も體を温めてくれます。食べ過ぎると熱に偏ってしまいますので注意してください。
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