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肥満は食べ過ぎだけではない

テレビCM などの「ダイエットには体脂肪を落とす○○薬!」といった広告を見て、体質や肥満の原因を顧みずに安易にそういった薬を購入し、服用する人も少なくありません。
同じ物を同じ量食べていても太る人もいれば、太らない人もいます。
中医学では、カロリーの数値だけで辻褄の合わないことでも解決する方法がありますが、結果を出すためにはきちんとした根拠のある対策をとることが重要です。

太るのは栄養失調(虚症)が原因のことも

西洋医学ではカロリーの数値が重視されがちですが、中医学では肥満の原因は複数あると考えられており、その中でもかなり大まかに言うと、
◇実証(体力の衰えはなく、身体にとって不要なものを溜めこんでいるタイプ)
◇虚症(体力がなく、身体にとって必要なものが不足しているタイプ)
に分けることができます。

虚症タイプの原因一例には以下のようなものがあります。
◇カロリーだけは足りているのに、代謝に必要な栄養素が不足している。
◇カロリーそのもの不足や代謝力が落ちていて排出するパワーが不足している。

実証タイプの原因一例には以下のようなものがあります。
◇食べ過ぎや運動不足が原因で排出や消費が追いつかない。

タイプ別に使い分けるダイエット中薬

タイプ別に使い分けるダイエット中薬においては、以下のような原則を守る必要があります。
◇虚症タイプには体力を補い、追い出す力を高めるものを使います。
例)補中益気湯や防已黄耆湯・六君子湯など。
◇実証タイプには追い出すものを使います。
例)防風通聖散・二陳湯・桃核承気湯など。

CMなどで有名な「防風通聖散」という方剤は「実証で熱のタイプの肥満」に使うお薬のため、「虚証で水太りの人や妊婦」といった人には使えません。
妊娠中の女性や子ども、西洋薬を飲んでいる方、疾患の治療中などの方の場合は、特に慎重に扱わないといけません。やはり専門家に相談の上、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
また、これさえ飲めば、など「これさえすれば」という便利な物はありません。溢れる安易な情報に振りまわされず、自分自身とライフスタイルを見直すことが大切です。

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ダイエットの中薬(漢方薬)。使い分けと注意点

大倉 あやこ

中医学の本場中国、上海中医薬大学にて中医内科を専攻した後、現地の国立病院で糖尿病の外来の営養指導や現地在住の日本人に薬膳をレクチャー、ハーブティーブレンド開発・店舗経営などを経て、2014年に日本に帰国しました。 中医・薬膳の先生と聞くと少し別世界の人のように思われがちですが、厳しい事や細かい事はとても苦手な、美味しい物が大好きな酒のみ栄養士です。 「食」は「人を良くする」ものです。 研修医時代、「この人は食をきちんとしていたら病院に来なくても良かったのに」というような患者さんを沢山診てきた経験から、「病院に行かなくてすむ人を増やしたい」「病氣になっても回復が早まるように」と願い、【食医】」の道を選びました。 ぬる~い私でもできる薬膳ですから、きっと皆さまも楽しんで実践していけると信じて、誰よりも楽しんで活動・情報発信していきたいと思います。 薬膳を通じて沢山の人とご縁できる事を楽しみにしております。

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