真夏は心を傷めやすい
夏は五行学説でいう「火」の季節です。火には「熱い」「炎上する」「上に向かう」といった性質があります。まずは火の繋がりを見てみましょう。
火―夏―赤―苦―心―小腸―舌―脈―喜―熱など…
これらの繋がりから「夏は熱で心(脳も含む)が傷みやすい。心が傷むと小腸に影響が及び、口内炎や舌の痛みが出やすくなったり、睡眠の質が低下する。また、心が傷むと喜びすぎ(興奮状態)になり、また、興奮状態が続くと心を傷める」と読み取れます。
冬の病氣は夏に治す
中医学のバイブルと言われる『黄帝内径』には、「冬によく見られる慢性疾患は陰が強く、陽が弱いために起こる。陽の季節である夏にしっかり養生すれば陽を強化できるので抵抗力が高まる」と書かれています。
暑いからと冷たい物ばかり食べたり飲んだり、クーラーで体を冷やし過ぎるのは控えましょう。
本場では緑豆スープや酸梅湯で夏バテを予防
夏は、體(からだ)の水分や体力ともに消耗が激しく、熱がこもりやすい季節です。
體の熱をクールダウンし、失った水分や体力を補給する食べ物や飲み物を選びましょう。
薬膳の本場中国では、夏になると緑豆を煮だした「緑豆スープ」や、燻製した梅から作られる「酸梅湯」というジュースをよく見かけます。
「緑豆スープ」は、以前流行った韓国の宮廷ドラマ「チャングムの誓い」の中にも登場しました。主人公チャングムの母が毒殺されかけた時、友人が緑豆スープを飲ませたおかげで命が助かったというシーンです。緑豆スープには、解毒のパワーにも優れていますので、家庭に常備しておかれるといいでしょう。
夏の薬膳
「暑くて疲れやすいから体力をつけよう!」などと、スタミナ定食などの油の多い食事を摂ると、弱った胃腸にかえって負担をかけてしまいます。
あっさりとした食材や味付けを心がけ、枝豆やいんげん、緑豆、大豆などの豆類や、きゅうりやスイカ、ゴーヤなどの瓜類を多めに取り入れるようにしましょう。
参考文献:黄帝内径(陜西師範大学出版)
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