陰と陽のバランスを取る学問
「今日は體(からだ)が冷えるから生姜を多めに摂ろう」「暑い日はスイカを食べよう」など、日常生活の中で何となく體を温める食べ物、冷やす食べ物を意識する場面があると思います。会
中医学では「體を温める力=陽」「體を冷ます力=陰」と考え、肉体だけでなく、食べ物や気候、環境などに陰陽の法則を当てはめてバランスを取ることを重視しています。
體を温める・冷ますと言われている食べ物
◇温める食べ物
にんにく、生姜、ネギ、パクチー、かぶ、羊肉、スパイス、ワイン、黒米、えびなど。
◇冷ます食べ物
スイカ、きゅうり、トマト、レタス、茄子、大根、豆腐、ピータン、ビール、かになど。
すべてではありませんが、温暖な国や地域でとれる物には體を冷やす物が多く、寒冷な国や地域でとれる物には體を温める物が多いとされています。
寒い北海道では體を温める羊肉料理が発達し、暖かい沖縄では消耗を補う豚肉の料理が発達してきていることから、自然と「温める・冷やす」を取り入れていると推測されます。
似ていても正反対の性質のことも
中国上海には、秋の名物「上海蟹」があるのですが、上海蟹を食べる時には必ず殺菌作用と温める作用のあるお酢と生姜を合わせていただきます。食後には生姜湯が出される事が一般的で、お酒も體を冷やすビールは選ばず、紹興酒を温めてさらに生姜を入れていただきます。
同じ甲殻類でも、えびは温めます。
また、かぶは體を温めますが、大根は冷やす性質です。
工夫をすればバランスをとれる
「冷え症だから冷やす物は絶対食べない」と思う人もいるかも知れません。
その反対も同じく、極端に特定の物を避ける必要はありません。
茄子なら生姜やにんにくを合わせたり、バナナならシナモンをかけて焼いて陽の性質をプラスしたりすれば、冷やす性質は緩和できます。
温めすぎたら大根おろしやミントなどでクールダウンすればいいのです。
ほとんどの食べ物が温めることも冷やす事もしない穏やかな性質のものなので、神経質になりすぎず、食材の性質を知ってバランスをとることが大切です。
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