COLUMN

当院は東京都内にある400床の総合病院です。羽田空港から一番近い総合病院として、空港関係の方の利用も多いです。私たちが栄養指導で関わる患者様は病院近郊にお住まいの中高年~ご高齢の方が中心です。外来での糖尿病療養指導は1日平均30人程度と大変多いことも特長です。

栄養指導の中止、そして業務の変更

2020年4月緊急事態宣言を受け、当院の栄養指導は4月より入院、外来患者様ともに当面中止としました。外来で既に予約済の患者様には電話で中止のご連絡をしました。私たち管理栄養士は栄養指導業務がなくなり、病棟訪問も基本は自粛となるなど、患者様との関わりを少なくせざるを得ませんでした。そして、日々の業務は、普段栄養指導業務が多忙で手を付けられなかった栄養指導媒体の作成、栄養指導システムの構築、帳票類の整理などに変わりました。

栄養指導の再開! 感染予防策の徹底

7月より栄養指導業務は、感染予防策を十分にとった上で再開しました。栄養指導を受ける患者様には、①マスクの着用、②体調不良 (37度以上の発熱・咳・息苦しさ・だるさなど)がある場合は控える、③付き添いの家族は1名まで、この3点の徹底をお願いしています。管理栄養士のPPE(個人防護具)は、サージカルマスクの適切な着用、アイシールドで眼の防護、患者様の物(糖尿病手帳や血糖測定器など)を触る場合は手袋を着用します。患者様にもマスクの適切な着用をお願いしています。

環境整備に苦慮した栄養指導室

栄養相談室や療養指導室は、コロナ禍前まではプライバシー保護のため、密閉空間で行っていました。また、対面かつ近距離で接し、患者様に密接な指導となっていました。各指導室は比較的狭いスペースであるため、密を避ける環境整備に私たちはとても苦慮しました。各指導室は窓と扉を開けたままにし、カーテンを設置することで常時換気をしています。配置変更も行い、対面ではなく直角で接し、ソーシャルディスタンスも確保できるように工夫しました。また、患者様の指導終了ごとに管理栄養士は手指の消毒、環境消毒として患者様が接触した机や椅子の消毒、キーボードなどの消毒を実施しています。

マスクの正しい付け方で感染予防

換気をしていることで外来は今の時期、とにかく極寒です。暖房のほか、足元にはヒーターを設置、患者様には上着で調節していただいています。最近はマスクを着用せずに来院される患者様は少なくなりましたが、マスクをしていない方には売店で購入していただいています。マスクを着用していると会話がしづらかったり、友好的な患者様だとついマスクを外したり、近寄って近距離で会話をされる患者様も多くいらっしゃいました。それを受けて、私たちは『マスクの正しい付け方』のポスターを作成、指導室前や着席時に目の届く場所に掲示し、適切な着用をお声かけしました。イラスト付きのポスターはわかりやすいと病院内からも好評で、現在は病院内にも掲示されています。

栄養指導の継続でデータ改善を!

本コラムでは、運用を大幅に変更して再開した栄養指導の感染予防策を中心にご紹介しました。
私が担当する患者様は糖尿病や腎臓病などの持病をお持ちの方がほとんどです。コロナ禍で外出できないことから、食事のとり方が変化したり、運動不足になっている方が激増しています。残念ながら、生活習慣の変化により検査データも悪化傾向の方が多く、今後も感染予防策をとりながら栄養指導を実施し、患者様が食事療法を継続できるように支援していきたいと考えています。

   

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
      1360日前

      病院で勤務をされているイートリスタの大塚綾さんに、新型コロナウイルスによる仕事の変化や栄養指導の感染予防策などをご紹介していただきます。

WRITER

大塚 綾

総合病院の管理栄養士をしています。 糖尿病専門外来の療養指導などを担当しています。 フリーの活動では地域の方を対象に栄養講座や栄養相談会を実施しています。

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