所属を持たないフリーランスの栄養士にとって、先が見えない不安と過ごしたこの一年。
普段の仕事で「できなかったこと」、そして「新しく取り組めたこと」を本コラムでお伝えします。
相次ぐ延期・中止の連絡メールで思考停止状態に
私は、保護者や子育てに携わるスタッフなどに向けた講座の講師や、指導業務が活動の中心です。
2020年度末に向けてさまざまな講座の企画と準備を進めていた矢先、先方への開催有無の確認から始まったように思います。お返事に「延期のお願い」「中止のお願い」という言葉を見るたびに、手帳へ訂正線をつける作業が続きました。調理実習が入った子ども向け食育講座の開催、子育てボランティア養成講座への登壇、入園前に知っておきたいお弁当講座、大手外食企業様主催子育て支援セミナーなど、多くの業務が中止の嵐でした。
この先どうなるのだろうという不安と共に、収入も激減するかもしれないという危機感を募らせていました。
少しでも保護者に寄り添える方法への模索と新たな日常に向けての支援
中止や延期をせざるを得ない講師業務の行き詰まりを変えたのは、SNSを通じた発信や支援に取り組むことでした。Zoomやインスタライブ、作成した動画配信など今まで以上にパソコンやSNSに関するスキル習得を重ねながら、新たな日常に向けた支援の実践を試していきました。またSNS発信に向けて、マイクやライトなど周辺機器への投資も惜しみませんでした。少しでも聞いてくださる方の環境向上を考えて、今もより良い環境へと試行錯誤しております。
普段当たり前のように開催されていた母親学級、離乳食教室、食事相談などが中止となる中で、「知識が知りたい方には知識を」「不安が募っている場合には励ましや今できそうな方法での支援を」と、いつも以上に柔らかく話すよう心掛け、画面の前で発信してきました。
再開した仕事は感染予防の対策を十分に行った上で安心できる環境で
子育て支援施設内で行われる食事相談事業が再開され、現在も通常通り行っております。私はフリーランスという特性から、移動回数が多く不特定多数の方とお会いするため、感染対策をより徹底し、安心して相談にお越しいただけるよう配慮しています。
コロナ禍でも赤ちゃんは日に日に大きくなっていきます。そして、赤ちゃんの成長に伴い、ママの悩む内容も変わっていきます。毎月のように相談に来てくださる方へ、一人当たりの時間は短いですが、少しでも育児を楽しめるよう食事の面から支援しています。
「新たな日常」下で取り組む食育の推進のために
この見出しは、今年度からスタートした第4次食育推進基本計画での重点課題の一つです。フリーランスという仕事は固定仕事ではないケースも多く、収入についても不安定になりやすいですが、改めて「新たな日常」を受けてどんなことができるのか、そしてフリーランスだからこその強みは何なのかを考えながら今後も活動していこうと思っています。
参考文献
・第4次食育推進基本計画
厚生労働省第4次食育推進基本計画の概要
https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/hyoji/attach/pdf/210331_35-4.pdf
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