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- 管理栄養士・栄養士の仕事
- 2021.05.31
コロナ禍における病院で働く管理栄養士の現状
私の所属する施設は、新型コロナ感染症患者の受け入れ病院であり、地域の三次救急を担う急性期病院です。中等症の患者から人工呼吸器や人工心肺の装着を余儀なくされた重症者も入院されています。
本コラムでは、新型コロナ流行下での管理栄養士の状況について報告します。
活動制限と個人防護の実施
新型コロナ感染症患者の受け入れ病院は、新型コロナ感染の最後の砦でもあり、私の所属する施設では緊急事態宣言が解除された今でも、感染予防・拡大防止のため「院内におけるマスクおよびゴーグルやフェイスシールドの着用」「学内外の会合、会食への参加自粛、感染リスクの高まる場での遊興等の禁止」「外出自粛」「不要不急の会議や勉強会の中止・延期」「渡航の中止・延期」を行うように義務づけられています。また、任意で厚生労働省のアプリの利用も行なっています。
濃厚接触が疑われた場合は出勤停止、スタッフへのPCR検査もこれまで3回実施されました。
また、国内でのワクチン接種も始まり、医療従事者は優先的に接種させていただき、無事に2度の接種を終えることができました。
医療従事者として厳しい行動制限等を課せられる状況ですが、幸いクラスターの発生はなく、日々の業務を継続できています。
業務中の感染対策
管理栄養士の日常業務としては、入院患者さんの栄養管理、栄養指導、他職種カンファレンスへの参加を行っていますが、いずれの業務においても患者さんやスタッフとのコミュニケーションは必要です。
個人防護でも触れましたが、他職種カンファレンスではマスクとゴーグルの着用、ソーシャルディスタンスを確保しながら患者さんの栄養療法についてディスカッションを行っています。
栄養指導は栄養士会からの通達(1にもありました通り、集団指導は自粛としました。個人指導については、指導中のマスク・ゴーグルの着用、アクリル板の設置、ソーシャルディスタンスの確保、定期的な換気、指導前後のアルコール消毒を行いながら実施しています。
新型コロナ感染症の栄養管理
私の所属する施設は、新型コロナ感染症重症患者の栄養管理も行っています。新型コロナ感染症患者では、早期から全身状態、循環動体の安定した症例では、十分なエネルギーとたんぱく質・アミノ酸補給をし、ビタミンや微量元素の不足のない栄養管理の実施が推奨されています(2。
ICUで管理が必要となる人工呼吸器、ECM(体外式膜型人口肺)や血液浄化、伏臥位療法等が必要な患者さんでは、栄養療法についてのガイドラインは存在しませんので、重症患者における栄養療法(3に基づいて栄養管理を行なっております。新型コロナウイルス感染症重症患者では、栄養療法がいまいち乗りにくい印象ですので、こまめなモニタリングを行いながらの管理が必要となっています。
学会参加形式の変化①
私は毎年学会に参加していましたが、感染対策のためにさまざまな学会の現地開催が中止または見送られ、学会のあり方も変わってきたように感じています。発表準備を進めてきた日本集中治療医学会はWEB開催となり、発表もミーティングアプリを使用しての発表でした。学会では旧友との再会や演者と直接意見交換をすること、現地の文化を知り食文化を楽しむこと、仲間との親睦を深めることが楽しみの一つでもありましたが、WEB開催ではそれは叶いません。
学会参加形式の変化②
学会参加の良いところは、いまだに論文化されていない最新の研究や取り組みなどを知ることができるところです。
従来の現地開催型では同時刻に複数のセッションが開催され、興味のあるセッションが重なった場合には,泣く泣くいずれかを諦めなければならないことも多くありました。しかし、WEB開催では見逃したセッションも後日ストリーミング再生で聴講でき、興味のあるものは全て聴講可能となりました。
密なコミュニケーションはできなくなりましたが、知見を広げるという面では新たな形として前進したように感じます。
参考文献
(1 原純也:「新型コロナウイルス感染症にかかる給食管理業務および臨床栄養業務における対応について」、栄養士会、https://www.dietitian.or.jp/important/9_1.pdf、(閲覧日:2021年4月11日)
(2 一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会 COVID-19対策プロジェクトチーム:「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療と予防に関する栄養学的提言」、臨床栄養代謝学会、https://www.jspen.or.jp/wp-content/uploads/2020/06/5bdc239305f0713ca6502e51174ea20f.pdf、(閲覧日:2021年4月11日)
(3 日本集中治療医学会重症患者の栄養管理ガイドライン作成委員会:「日本版重症患者の栄養管理ガイドライン」『日集中医誌』2016年 第23巻 P185-281
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みんなのコメント( 1 )
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- Eatreat 編集部
- 1270日前
コロナ禍での管理栄養士の仕事現場を紹介する連載シリーズです。今回は、地域の三次救急を担う急性期病院で勤務されているイートリスタ菅智行さんのお仕事現場を紹介します。
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WRITER
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菅 智行
臨床栄養を中心に活動しています。近年では重症患者の経口摂取開始に力を入れています。栄養療法ということでは強制栄養が勝りますが、口から食べることでは笑顔が見られます。そんなとき、やはり食事は生活の彩りだと感じさせられます。 取得資格:管理栄養士 NST専門療法士 糖尿病療養指導士
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