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- 妊娠・出産・育児
- 2021.10.04
妊娠中の食事と体重管理「妊娠中期編」
妊娠中期(16〜27週)は安定期と呼ばれ、食生活を見直すチャンスです。今までは、好きな物を好きなだけ食べたり、不規則な生活を送ったりしていた方も多いのではないでしょうか。
赤ちゃんの成長にはお母さんの食事が直結します。主食、主菜、副菜を取り入れてバランスの良い食事を心がけましょう。
妊娠中期に気を付けたい食事のポイント
妊娠中は、食事や栄養に敏感になり食生活の改善を意識する方が多くいらっしゃいます。
しかし〝これだけ食べていれば大丈夫!″という食材は残念ながらありません。「ばっかり食べ」にならないよう、いろいろな種類の食材を満遍なく食べることが健やかなマタニティライフの近道です。そして、禁酒・喫煙も忘れずに!
また、加熱不十分な肉や生ハム、海外産のナチュラルチーズは、食中毒や感染症を引き起こす可能性があるため、妊娠中は控えるようにしましょう。生魚は体調の良い時に新鮮な物をよく噛んで食べると良いでしょう。水銀を気にして魚を控える必要はありません。水銀が多い種類(下図参照)は目安量を守り、それ以外の魚は積極的に取り入れてください。魚に多く含まれるω3系多価不飽和脂肪酸は妊産婦さんの精神安定に効果があるかもしれないと、現在研究が進められています。
食事の付加量について
妊娠中期からは、本格的に食事の質を高める必要があります。中期のエネルギー付加量は250kcalで、コンビニのミックスサンド1袋分程度です。20代女性の朝食欠食率は約4人に1人(※1です。朝食欠食が習慣化していると必要なエネルギー量や各種栄養素が不足する可能性があります。まずは朝食を食べる習慣を付けるのが、食生活改善の第一歩だと考えられます。
また、中期は特に鉄分の付加量が9.5mgとグッと上がり、1日の推奨量が16mgになります。鉄分を毎日16mg以上とることは容易なことではありません。毎食、鉄分の多い食材(肉、魚、卵、大豆製品、貝類、小松菜等)を意識して使用し、併せてビタミンCも摂取すると鉄分の吸収を促します。鉄分は一度に沢山吸収できないため、こまめな摂取が欠かせません。
(※1 平成29年国民健康栄養調査結果
体重管理について
つわりが終わり、何でもおいしくてついつい食べ過ぎてしまい、急激な体重増加を招きやすいのが中期の特徴です。 1ヶ月に1〜2kg程度の増加を目安として、食欲をコントロールしましょう。バランスの良い食事をしっかりとり、おやつはほどほどに、医師から安静指示がなければ散歩などで活動量をアップしていくと健康的に過ごせます。体重を気にするあまり、極端に少ない食事をしたり、主食を食べずに野菜だけで過ごしたりするのは絶対にやめましょう。主食、主菜、副菜を意識したバランスの良い食事をとり、適切に体重を増やして質の良い栄養を赤ちゃんに送ることが大切です。
バランスの良い食事とは(一例)
糖尿病や高血圧にも注意が必要な時期
妊娠中は非妊娠時よりも甘い物への欲求が強くなりがちです。食欲のまま食べすぎると、妊娠糖尿病を発症するリスクがあります。また糖質の多い食事は、赤ちゃんが巨大児になる可能性もあります。お菓子はたまのお楽しみにして、おやつには果物や乳製品、芋などがオススメです。
塩分のとり過ぎや急激な体重増加、ストレスなどは、妊娠高血圧症候群を引き起こす原因となる場合もあります。妊娠高血圧症候群は、母体への影響はもちろん、早産や発育不良、難産など赤ちゃんに影響を及ぼすこともあるため、質の高い食事と適切な体重管理が大切です。
参考文献
・ベネッセコーポレーション:「月数ごとに見てわかる 妊娠・出産新百科」ベネッセコーポレーション(2010年)
・厚生労働省:「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針(令和3年3月)」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/ninpu-02.html(閲覧日2021年7月30日)
・厚生労働省:「平成29年 国民健康・栄養調査結果の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf(閲覧日2021年8月30日)
・厚生労働省:「食事摂取基準2020」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html(閲覧日:2021年8月30日)
・厚生労働省:「これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと」
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/051102-2a.pdf
(閲覧日2021年9月1日)
・Medical Tribune: 妊婦の抑うつにオメガ3脂肪酸は有効?
https://medical-tribune.co.jp/kenko100/articles/200127529685/(閲覧日2021年9月4日)
関連コラム
・妊娠中の食事と体重管理「妊娠初期編」
・妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針 改定のポイント
・お腹の中~人生最期の時まで幅広く、その人らしい食事や生活が送れるようサポートしたい 沼倉真宝子さん
みんなのコメント( 1 )
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- Eatreat 編集部
- 1147日前
イートリスタの沼倉さんに解説いただく「妊娠中の食事と体重管理」のシリーズ第2回目は妊娠中期についてです。
"妊娠中の食事と体重管理"のバックナンバー
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WRITER
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沼倉 真宝子
1日3回、1年で1000回 栄養を摂るためだけの食事ではなく、 日常に密着した食生活を一緒に考える。 気軽に相談できる場を創りたい。 個々に合ったライフステージごとの食事を提案します。 病院管理栄養士として14年勤務。総合病院、療養型病院、リハビリ病院、産婦人科病院を経験し様々なライフステージや臨床栄養を習得。栄養管理、給食管理、NST、在宅訪問栄養指導など幅広い業務経験あり。延べ3000人以上の栄養指導を実施。また、離乳食教室を8年主宰し、3500人以上の離乳食相談の経験を積む。指導媒体の作成や、セミナー講師も経験豊富。 プライベートでは、小学生の姉妹を育てるママ。自身の手術、癌で家族を亡くしたこともあり、「育児・闘病・自宅で家族を看る」当事者として同じ目線で、頑張り過ぎない方法を一緒に考えられるのではないか…。そんな経験から、疾病・介護予防や日常の食生活を共に考えられる仕事がしたいと思い2021年夏 独立。 フリーランスとして食育、栄養相談、在宅訪問、料理教室、SNS発信、地域活動など身近な栄養士として活動しています。 気軽に相談ができる場を創り、充実した食生活を送るお手伝いをします。 肩の力を抜きながら、無理なく続けられる食事。一緒に考えてみませんか?
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