COLUMN

子どもの五感を刺激し、成長を支える保育園給食。子ども達の給食を作る給食室では、毎日やることがいっぱい!給食作りには多くのポイントとコツが必要です。
そこで、2回にわたって保育園給食の課題、そして課題との向き合い方、考え方、解決方法をお伝えしていきます。1回目となる今回は、給食業務における課題を抽出していきます。

給食室の1日の流れ

保育園の給食室は朝から大忙しです。出勤後は以下の流れで1日の業務を行います。

給食室の立ち上げ➡納品受け取り➡下処理➡昼食の調理➡提供➡洗浄➡おやつの調理➡提供➡洗浄➡片付けと清掃
このように、目まぐるしく朝から夕方まで給食室は動いています。そして、一つずつの作業は迅速かつ安全であることが重要なため、衛生面には特に気を付けながら作業する必要があります。また、上記の業務に加えて食育活動を行う準備や、行事食の日はさらに業務のボリュームが増えていきます。

このように忙しい保育園の厨房業務において、現場のよくある課題をみていきましょう。

これが大変! 給食室① ~人員が少ない~

人の配置の少なさを訴える現場は数多くあると思います。「もう一人いてくれたら、もっと手を加えた給食が出せるのに」という声を聞くことがよくあります。
“なぜ人が足りないのか”考えられることとしては、次のようなことがあります。
「そもそも給食スタッフが人員に達していない」
「募集をかけても集まらない」
「人はいるが個人スキルや経験値の差により手数がないと現場が回らず、結果として人が足りていない状態」
このように、人手不足といっても各現場によりさまざまな原因があると考えられます。

これが大変! 給食室② ~調理が煩雑である~

幼児食を作るだけが保育園の給食ではありません。給食の種類は1つにとどまらず、アレルギー対応食、禁止食、離乳食、職員食など、数種類の献立を調理しなければならないのが保育園給食の実際です。
子どものご飯を作るという感覚より、もう少し踏み込んだ食事を作ることになります。そして、家庭よりも多い人数分を調理するため、もちろん仕込みの量も増えてきます。
また、アレルギー食や禁止食などの提供がある場合には、調理室の使い方や作り方にも配慮が必要となります。短時間の間に下処理から調理、盛り付けまでとなると段取りよく進めなければ、時間に間に合わなくなったり、間違いを起こしやすくなってしまいます。離乳食も初期~完了期まで対応していると、さらに調理は細かくなってきます。
厨房業務を円滑に進めるためには、どのようにどうやって作っていくか段取りが要になっていきます。

これが大変! 給食室③ ~衛生管理の徹底~

細かな作業とともに、どの作業にも欠かせないのが衛生管理の徹底です。食材の搬入から給食室内で使用するものすべてに衛生管理が紐づけられ、徹底がはかられています。
食材の衛生については、仕入れ段階から温度管理、賞味期限、産地などの明記が必要になっています。また、下処理においては、洗い方、肉や魚、卵の取り扱いなどもすべて徹底して行わなければなりません。その他、空間の衛生チェック、給食室内の温度や湿度、使用する水の残留塩素なども確認していきます。
こうした衛生管理には、必ず書類への記録が必要となります。書類を毎日記録することが負担になり、気が付くと書き忘れていたり、書類がそろってないということはありませんか? 動く作業と書き留める作業、これがスムーズに流れていないことも効率よく動けない課題としてあげられます。


人が入ってもうまく回らない、せっかくおいしい献立を立てても仕上がりが残念だったり、監査前に慌てて書類をそろえる羽目になるなど、現場が落ち着かない原因は総合的に課題を解決できず、そのシーンごとの解決である場合が多いと思います。総合的な解決策を打ち立てるために、次回のコラムでは課題への向き合い方をあげていきたいと思います。

 

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
      987日前

      保育園の給食業務の課題点と課題との向き合い方、考え方、解決方法を長嶋貴代さんに2回にわたり解説していただきます。今回はその1回目です。

WRITER

長嶋 貴代

保育園で食育を中心とした仕事をしております。また常に安定で美味しい給食を提供できるように厨房の業務改善および質の向上に努めてスチコンフル活用オペレーションの定着をはかっています。その他、旬を彩る手のひらコンフィチュールanythingをプロデュース。

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