前回のコラムでは厨房作業の課題抽出をしました。
2回目はより具体的に効率化へのアプローチを検証していきたいと思います。
理想の人員配置より、業務バランスを見直しましょう
家庭の食事と違い、提供時間が決まっている給食は毎日ゴールに向かって作業を行います。効率化へは新たな視点を取り入れることがポイントです。そのためには、一つひとつの業務を見直して分析し、どこにボリュームがあり改善が必要であるのかを見つめ直してみましょう。
下処理の効率化をはかる
下処理について考えてみましょう。
保育園の使用食材は、ほとんどがフレッシュの野菜です。納品したものを洗い、そしてカットします。こうした下処理にかかる時間を、まずは算出してみましょう。この時間があと10分でも短縮できたら、その後の作業にもう少し余裕ができませんか? そこで、この下処理業務の効率化には、フードプロセッサーの導入をおすすめします。フードプロセッサーは、千切り、みじん切り、いちょう切りが一度にでき、工事をしなくてもコンセントがあればすぐに使えます。実際このフードプロセッサーの導入により、仕込み時間を1/3は短縮することが可能です。他にも、怪我のリスクを減らせます。
このような機器の導入は、大きな投資をしなくても見直すことができる業務改善への大きな一歩になります。導入時はどのくらいの人件費、時間がカットされ、業務の効率化が図れるか根拠をもって園に提案することがポイントになります。
調理の効率化を考える
調理作業は大きく2パターンに分けられます。
①(温)火を使う ②(冷)和える
動線が同じものはまとめて作業をし、稼働する範囲を広げないようにしましょう。
火を使うものは同時に仕上げていきます。事前に献立を見ながら、作る必要のあるものを想定し、一度に調理をしていきます。この時、効率よく行うためには食材に見合った大きさの鍋を用意しておくことです。例えば対象人数の少ない離乳食やアレルギー食などは小さめの鍋を用意しておきます。今は100均などでも揃えられるので、何度も洗いながらやるよりもスムーズになります。スチコンのある園はぜひ、スチコン調理にも取り組んでみましょう。ボウルや柄のついてない鍋に材料を取り分け、そのまま蓋やホイルをかぶせてコンビでセットすることで火加減を気にすることなく、付きっきりにならなくても仕上げることができます。
献立の読み込みなど事前準備が必要ですが、備品をそろえることで調理までのステップが短く、結果効率の良い作業につながります。
献立からみる効率化
効率よく作業するためのアプローチには献立作成も関与してきます。日々の各業務が同じレベル感で実施できるような献立が理想です。
そのため、極端に多い食材の数、何工程も踏まなければ仕上がらないような料理、似たような調理作業などは負荷がかかると判断します。現場のスペックを理解し、それに沿った献立作成を心掛けましょう。
厨房業務の効率化はとかくソフトな面ばかりに目が行きがちですが、質の安定を目指すには、ハードな面からの改善も積極的に考えていく必要があります。
各園によって考え方もさまざまではありますが、業務負荷を数値化してどのくらい軽減されるのかを示せるような考え方を身につけてみましょう。そして、子どもたちのためにという軸を根底に給食管理を構築させ、新たな視点での作業効率化を目指しましょう。
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