1人分の調理、1人分の離乳食、さまざまな個別対応が必要な保育園給食。少ない人数で数多くの食種に対応しなくてはいけないため、厨房は常に忙しい状態です。そんな忙しさを解決する方法の一つとして、スチコンを使った効率アップの調理術を実践している保育園勤務の管理栄養士
長嶋貴代さんにお話しを伺いました。
調理業務効率化のために工夫されていることを教えてください
たくさんの小鍋を並べて作るのが当たり前だった個別対応の給食ですが、それには次のような課題がありました。
★少量で作ることの難しさ
火加減や水加減で同じ献立であっても同じように作れない
↓
作る人が違うと出来上がりが少し違ってしまう
これらを改善するには火にかけている鍋から目を離さないことですが、そうするとガス火の前から動きにくい環境がありました。
そこで、それらを解決するためにスチコン調理を積極的に取り入れるオペレーションに切り替えました。
スチコン調理に切り替えるにあたり大変だったことはどんなことですか
これまでの調理は、作り手の感覚と経験値が大半を占めていたため、スチコンの基本的な機能の理解を周知することが最も難しかったです。
スチコンで作るより火にかけたほうがおいしいという感覚、鍋の中をのぞきながら作らないとなんだか不安という思い、そんな調理業務へのマインド修正が一番の壁でした。また、オペレーションを大きく動かすことへの不安を拭うことも大変でした。
スチコンを活用した調理業務の効率化について詳しく教えてください
これまでは、火にかけながら他の作業をしていたので、調理をするうえで気を配る点がとても多かったと思います。1人分の調理が入ると水加減などを気にしながらあちこち目を配らないと、火にかけすぎて焦がしてしまうということがありました。
スチコン調理では食材を小さなボウルや鍋に入れてセットするだけなので、火にかける前にしっかりと中身の確認ができます。また、調理する食事が何種類あったとしても必要な調理数のボウルや鍋さえあれば一気に作り上げることができます。たとえ10種類でも20種類であってもスチコンを使えば一度に同時調理ができるので、とても効率がよいです。
調理業務を効率化した結果どのようなメリットがありましたか
「鍋に材料を振り分け、一気にスチコンにかける」それだけで焦がす心配もなく、違う料理も同時に仕上げることができ、なおかつ温度管理も可能なため衛生面でも安心です。また、一人分であっても水分の蒸発や煮詰めすぎなどのリスクが軽減されるため、いつも安定した料理の提供が可能になりました。
何より食材そのものの味を活かした調理が可能となるため、誰が作ってもおいしく仕上がります。スチコンの機能を理解し、活用することで火にかける調理の手間を省け、そのぶん他の作業に時間を使えるようになりました。盛り付けの工夫をしたり、食育を考える時間を生み出したりという全体のタイムスケジュールが大きく変わり、これまでのただ追われて忙しい給食業務からの脱却がはかれ、丁寧な給食作りへと変化できた思います。
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