ついにHACCPの完全制度化が6月に迫りましたね。
具体的にこれから何に取り組めばよいの!? どんな知識を持っていればいいの? と、戸惑われている方も多いと思います。そこで今回は、制度化についてわかりやすく説明します。
HACCPの知識をおさらいしたい方は、こちらの連載をご覧ください。
HACCPといえば、7原則12手順!?
HACCP制度化と聞いてどんな印象を持たれますか? 私がお話する管理栄養士の皆様の中には「より厳格な衛生管理が求められるのでしょ?」とか「確か学校で習った、7原則12手順とかいう、難しいものですよね…」などと、不安げな方が多いです。
しかし実際は、それぞれの業態によって求められる内容が異なります。まずは、ご自身の職場でしなければならないことは何かを把握しましょう。
大規模か、小規模かにより異なる対応
今回の制度化では、事業の規模に応じて必要な対応が異なります。
大規模事業者の場合は、学校で習ったようなHACCP7原則12手順に沿って進めます。あえて今どきの言い方で表現すると「ガチのHACCP」に取り組むということです。詳しくはこちらをご覧ください。
一方で、大規模事業者に該当しない「小規模な営業者等」では、提供される食事や商品が多岐に渡ります。つまり、多品種少量提供となることから、大規模事業者と同レベルのHACCPを実現することはほぼ不可能とみなし、「取り扱う食品の特性等に応じた取組(HACCPの考え方を取り入れた衛生管理)」に取り組むことになります。詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
給食施設では何をすればよい?
では、集団給食施設の場合はどうすればよいのでしょうか。もし既に「大量調理施設衛生管理マニュアル」(以下「大量調理マニュアル」)に沿って衛生管理をされているのであれば、新たに実施しなければならないことはないと言ってよいでしょう。なぜなら、大量調理マニュアルはHACCPの考え方に即して作成されており、今回の制度化で取り組むべきとされている、一般的衛生管理からメニューごとの重要管理点まで網羅されているからです。
せっかくなのでこの制度化を機に、マニュアルと現場の作業が違っていないか、形だけのものになっていないか、現場の方の負担になっていないか、という視点で見直すのもよいかもしれませんね。
マニュアルに即していない、そんな時は?
大量調理マニュアルに則した衛生管理がまだできていない場合は、どうしたらよいでしょうか。厚生労働省からの情報を基にご説明します。
まず、大量調理施設であるなら、大量調理マニュアルを順守するよう取り組みましょう。
大量調理施設に該当しない中規模施設である場合は、大量調理マニュアルを順守するか、あるいは最低限、一般飲食業向けの手引書に沿って衛生管理をすればよいとされています。
そして、提供食数が20食程度未満である場合は、今回の制度化には該当しないとされています。しかし該当しない場合でも、自主的な衛生管理向上に努めることとされています。
集団給食施設で食中毒が発生すると、喫食者が多い分、大規模な事故へと発展します。
大量調理での事故発生は深刻な事態も
昨年、大量調理において患者数が数千人規模にわたる食中毒が、複数発生したことはご存知でしょうか。給食は喫食者が多い分、ひとたび事故が起こると被害は甚大になりかねません。決して被害を出してはいけませんし、事故を起こしてしまうと行政処分を受けたり、信頼を失ったりと、その対応コストは計り知れません。それを考えると、対策するに越したことはありませんよね。
今回のコラムを参考に、まずは今年6月1日の時点でご自身の職場で取り組んでいなければならないことは何かを把握できたら、HACCPがなぜ今必要なのか、どうして世界中で取り入れられているのか、ということを理解した上で取り組んでみましょう。
次回は、集団給食施設が具体的に取り組むべき内容についておさらいします。
参考文献
・厚生労働省:「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化」https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000662484.pdf、(閲覧日:2021年2月24日)
・厚生労働省:「食品衛生法等の一部を改正する法律の施行に伴う 集団給食施設の取扱いについて(情報提供)」https://www.mhlw.go.jp/content/11135000/000729946.pdf(閲覧日:2021年3月1日)
・厚生労働省:「4.食中毒統計資料」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html(閲覧日:2021年3月1日)
協賛:ホシザキ株式会社
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