HACCPが2020年に義務化されます。HACCPは 食品を製造する際に工程上の危害を起こす要因を分析し、それを最も効率よく管理できる部分を連続的に管理して安全を確保する管理手法です。管理栄養士でイートリスタの米本そのこさんがHACCPについて解説します。(前編はこちら )
全部HACCPで管理すればいいのでは?
前編では手洗いの不備からノロウイルスが危害要因になる例を説明させていただきました。こういったお話をすると、「手洗いも含めすべてがHACCPで、一般的衛生管理などと敢えて分けなくてもよいのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、全てHACCPとして管理してしまうと、ハンバーグでもポテトサラダでも作ったメニュー全てに対して、手洗いをしたか、まな板を洗浄したか、水質検査はしたか、害虫駆除は行ったのか…、などを毎日記録することになってしまいます。
現場で実際に調理をしながらでは、とても現実的ではないですよね。現実的でないことを課すと、本当に重要な管理がどこなのか曖昧になり、また虚偽の記録を生み出す要因にもなります。これでは、表面上厳しく衛生管理をしているだけで、本当に食の安全性を担保しているとは言えませんよね。書面上や建前ではなく、現場で毎日実行可能であること、それがHACCPの考え方なのです。
具体的に考えてみましょう
第一回目の「「HACCP」の制度化!準備していますか? 」では、ポテトサラダを調理加工する上で、どんなことに具体的に気をつけるか?と質問しました。いかがでしょうか?
例えばこんな管理点が見えてくるかと思います。
A 材料を加熱後、生存した菌が増える可能性→適切に急速冷却する
B 加熱せず生で提供する胡瓜や玉葱→消毒薬を適切に使用する
C 冷却した後に交差汚染の可能性→ゾーニングや器具の使い分けをする
この中で、一般的衛生管理で扱うべきものはどれでしょう。そうです、Cですね。
ポテトサラダの管理点が徐々に見えてきました。次回以降、さらに深堀していきますのでお楽しみに。
正しい知識と省力化がカギとなります
一般的衛生管理の重要性と、HACCPイコール温度管理のみではないということが、ご理解いただけたと思います。
加熱は危害要因にかかわらず、全て中心温度85℃で管理しておくという方と非常に多くお会いします。その根拠を尋ねると、納得できる理由をお持ちの方もいれば、とにかくそうしないと心配という方もいらっしゃいます。心配だから厳しい管理方法を用いる、その気持ちはもっともです。しかし、そこに科学的根拠があるのか?HACCPの考えを理解し、現場スタッフの作業負担を把握した上でのことなのか? ということを今一度よく考えるため、知識の整理をしていただけたらより安心して調理ができるのではないかと思います。
また、人手不足ということも踏まえ、一般的衛生管理を見直す際、できるだけマニュアル(SSOP)の工程を減らしシンプルにすることで、現場の負担を軽くできるような設備や備品を選ぶことも大事だと思います。例えば、希釈の手間がなく一定の濃度の殺菌水を生成できる「電解水生成装置」がお勧めです。なるべく人の労力は本当に重要なことを管理するために使い、機械に任せることで省力化できることはどんどん取り入れていったらいいですね。
参考リンク
厚生労働省令第68号
https://www.mhlw.go.jp/content/11131500/000566190.pdf
厚生労働省 HACCP導入のための参考情報
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161539.html
手洗い、器具類の衛生管理をスマートに確実に!「電解水」についてはこちら
https://www.hoshizaki.co.jp/p/e-water/manual/
HACCPについてもっと知りたい方はこちら
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手洗い、器具類の衛生管理をスマートに確実に!「電解水」についてはこちら
協賛:ホシザキ株式会社
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