今回は、大学を卒業後、エステティシャン、事務職と畑違いの職場を経て、専門学校で栄養士の資格を取得し、食品メーカー営業職へと転身された吉田まやさんにお話を伺いました。
栄養士を目指したきっかけ
私、実は大学の文学部の出身なんです。当時は美容に強い興味があったため、新卒ではまずエステティシャンとしてエステサロンに就職しました。お客様には痩身目的の方が多くいらっしゃいます。マニュアルに沿って食事の指導などもするのですが、当時の自分には栄養に関する知識がきちんとあるわけでもなかったので、説得力に欠けるなという葛藤もありました。今思えばそれが栄養に興味を持つきっかけだったかもしれません。
しばらくして、転職して今度は事務職として働き始めました。もともと食や料理に関心があり、週末などにフードコーディネーターのスクールへ通うようになりました。そこでの勉強は思った通りとても面白かったのですが、ただ「料理が好き」というだけではだめで、調理や栄養の基礎的な知識が必要だなと痛感する場面が多くありました。
ちょうど自分の将来について考えていた時期でもあり、自分は人の食と健康にもっと関われる仕事がしたい! という方向性が見えてきたので、思い切って仕事を辞め、栄養士の専門学校に通うという決断をしました。アルバイトと両立しながら2年間通い、無事栄養士の資格を取得することができました。30歳のときのことです。
食品メーカーに営業アシスタントとして就職
専門学校を卒業後は、営業アシスタントとして大手食品メーカーに就職しました。
専門学校に来ている就職の案内は給食関連の仕事がほとんどだったのですが、自分の普段の生活の中で栄養士の知識を生かせるところはないかと考えるようになりました。スーパーやコンビニは病院より身近な場所。こういったところで栄養士の知識を生かしたいと思い、食品メーカーに絞って就職活動をしていました。
ハムなどの食肉加工品が主な商材で、私はスーパー・小売店の営業担当者のサポートをしていました。商品のキャンペーンのためのメニュー提案をしたり、食育のイベントをお手伝いしたりと、栄養士としての知識が生かせるチャンスも多く、やりがいのある毎日でした。8年ほど働きましたが、アシスタントとしての採用でしたので、まかせてもらえる仕事にものたりなさを感じることが多くなってきました。もっと自分が成長できる職場があるのではないか?と思い、現在の会社に転職しました。
責任もやりがいも大きく変わった新しい職場
転職先は、熊本県の食品メーカー、ブレッシングフェバーの東京オフィスでした。営業を担当しています。主力商品は「コクデール」という業務用の魚醤です。(http://www.cookdale.jp/)
魚醤はふつう、魚の加工過程で出た内臓などを原料に作ることが多いのですが、コクデールは新鮮な国産イワシを丸のまま原料にしており、一般的な魚醤より匂い・塩分・色がかなり少ないのにしっかりとしたうまみがあるのが特徴です。現在は業務用の販売しかしていないのですが、原材料としていろいろな加工食品に使われていますので、みなさんも知らないうちに口にされているかもしれませんね。
専門学校を卒業したときには、栄養士の資格を生かして営業をするなんて全く考えていませんでした。
法人営業は初めてでしたが、「コクデール」を使用したメニューを開発してお客様に提案しながら商品の特徴を説明する営業スタイルは、栄養士の知識とアシスタント時代の経験が生かされています。営業先もメーカー、外食、中食、病院など多岐にわたります。
この東京オフィスには営業職しかいないので、前職と違って幅広い業務を自分でこなさなければなりません。自分一人にかかる責任が以前よりぐっと大きくなったのを感じますが、もちろんその分自分で決断できることも多いですし、商品開発の現場に関わる実感があるというのは大きなやりがいにつながっています。
自分の知識を磨くために
栄養士の資格を取ってからも、空いた時間があれば様々な勉強会や教室に参加しています。
病院の減塩食のセミナー、栄養素についての勉強会など栄養士向けのものはもちろん、普通の料理教室に通うこともあります。仕事のためだけでなく自分の興味関心のためでもあるのですが、やはり、そうして得た新しい知識がメニュー開発はもちろん、お客様への提案にも生きてきます。
栄養士としての知識をもって説得力のある提案をするために、これからも常にアンテナは高く、様々な知識と経験を積んでいきたいと思っています。