今回は管理栄養士と会社員、二つの目線を持って活躍されている河原那緒さんにお話しを伺いました。
管理栄養士を目指したきっかけは何ですか?
高校2年の秋、10歳から続けていたジャズダンスで全国コンクールに出場した際、トレーニングやダイエットで苦労しました。その経験から、食事と運動が体型維持やパフォーマンス向上につながることを体感し、インターネットに溢れているよくわからない情報ではなく、正しい栄養学を学びたいと強く思うようになり、大学は栄養学科に進学しました。
在学中に、せっかくだから大学のカリキュラムを活用して取得できる資格は全部取ろう! と決め、管理栄養士の他に教員免許と衛生系の資格を取得しました。そのため、実習では保育園・小学校・病院・福祉施設・保健所など、たくさんの現場に行かせていただきました。管理栄養士といっても働く場所が多岐に渡るなと実感したのはこの頃でした。実習先の中で、特に印象的だったのは病院です。美味しく、安全に、かつ安定して毎日の食事を提供するために、先輩方が必死で働いている姿を見て感動した一方で、かなりの重労働・早朝を含むシフト、提供する食事への栄養やコストの制約、さまざまな管理業務を知り、現実は甘くないなと思いました。
いろいろな実習先に行き、実際に先輩方の働く姿を見たことで、自分がどのように働きたいのか、そして管理栄養士としてどのように社会に貢献したいのかを考えるようになりました。
また、その頃の私は料理に夢中でした。料理教室でのアルバイトに熱中していたこともあり「民間企業で働く」ということにも興味を持っていました。料理教室の生徒様が楽しそうにレッスンを受ける姿を見て、「健康な人が楽しくおいしい食事を食べながら、毎日少しずつ健康について気をつけることが当たり前の世の中になれば、病気で苦しむ人も減る」と思ったことがきっかけで、「沢山の健康な人に、食の楽しさや健康の大切さを伝えられる仕事がしたい!」と思うようになり、食品メーカーへ就職することを決意しました。
これまでどのような仕事を経験されてきたのですか?
就職先の食品メーカーでは、主に営業とレシピ開発を行っています。
新しく発売した商品を買ってください! と売り込むのも大事な仕事ですが、すでにご採用いただいている商品を上手に使いこなすにはどうしたらよいかを伝えることも大切な営業活動です。
また、現場のニーズを組み取って新しい商品を開発し、世に送り出すことも経験しました。
管理栄養士になる前のイメージと、なったあとの感想などはありますか?
学生時代は、管理栄養士の資格さえあればOKと楽観的に考えていたのですが、全く違いました。資格を取得して初めてスタートラインに立てるだけで、そこからも経験と学びの継続で常にアップデートし続ける必要がある職業だなと日々思います。
管理栄養士の資格が役立っていると実感したことがあれば教えてください
私は、メーカーに勤める会社員でありながら管理栄養士でもある、という二つの目線を持っていることが、仕事を進めていく上で非常に役に立っていると思います。
どちらか一方では、その業界の「当たり前」が体に染み込んでいきますが、両方の目線を持つことで新たな気づきを見出すことができると感じています。
情報を集めるために参考にしていることはありますか?
業務用食品の展示会などに参加し、業界の最新の情報収集を心掛けています。
将来どのような管理栄養士になることが目標ですか?
柔軟な考え方でさまざまな立場の人の悩みに寄り添い、食事を召し上がる人も提供する人も、皆が幸せになる提案のできる管理栄養士になりたいです。
休日の過ごし方やリフレッシュ法を教えてください
友人とおもてなし料理を作って、ホームパーティーを開催することがリフレッシュになっています。
最近はパーソナルジムに通っていて、体を動かすことも始めました!
管理栄養士・栄養士を目指す人に向けて一言
生きていく上で必要不可欠な「食」に携われるこの仕事は、日々やりがいに溢れています。
管理栄養士・栄養士といっても働き方はさまざまですので、ぜひどんな管理栄養士・栄養士になりたいか考えてみてください!
今の管理栄養士・栄養士業界の全体を通してなにか感じることがあれば教えてください
まだまだ管理栄養士・栄養士は病院の中にいる人というイメージが強いのでは? と思います。
もっと管理栄養士・栄養士と一般生活者の距離が近く、身近な存在になるといいなと思います。