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今回は、特定保健指導に力を入れて活動している福島綾子さんにお話をうかがいました。

管理栄養士を目指したきっかけ

実は、管理栄養士自体にあまり興味はなかったんです。私にとっては小学校や中学校の給食を作っている人というイメージが強かったですね。ただ、高校生の時に薬剤師の母から「国家資格を取得することで学歴ではなく資格で皆見てくれるよ」とのアドバイスをもらったことから、管理栄養士を取得できる大学に進学することに決めました。大学に入ってからの管理栄養士のイメージは給食を作っている人からダイエット等を行うため食のアドバイスができる専門家というイメージに変わっていきました。

大学3年生までは勉強している科目が栄養士につながるイメージをしにくく、管理栄養士課程の実感が湧きませんでした。また、私が国家試験を受ける年は、免除科目がなくなっていたのでそれに見合う勉強量と就職活動とが重なり大変でした。
2008年当時は8割位が委託給食会社に就職していました。まずは現場で経験を積むのがいいと先生に言われるまま、委託給食会社に就職することになりました。

委託給食会社での経験

実際に働き始めると、すぐに辞めたいと思うくらいのハードな現場でした。委託先は病院1か所と社員食堂2か所の計3か所経験しましたが、そこで包丁の扱いや、食材のグラム感覚、何をどれくらい煮るとどの程度の柔らかさになるか? 等の調理技術を身につけました。旬の食材も献立に取り入れる必要があったので、季節感のある献立もある程度作れるようになりました。
特に、病院に勤務していたときは糖尿病、高血圧患者の方用の特別食調理がメインとなっていたので、8つのコンロを同時に使って個別対応することもありました。
社員食堂での衛生管理をメイン業務としていたとき、仕事の一環でお昼に食券を配布しながらお客様と会話をする機会がありました。そこで自分が管理栄養士として認識されていないことが分かり、もっと管理栄養士として専門性を活かした仕事をしたいという気持ちが生まれました。それから栄養指導に興味を持ち始め、仕事を退職し転職活動を行うことになりました。

特定保健指導での経験

その後、派遣からスタートして特定保健指導を行うようになりました。業務内容は今までと全く異なり勉強の毎日でしたが、とてもやりがいがありました。栄養指導はその人の生活習慣に踏み込む仕事なのでデリケートな部分の話もすることになります。その結果、その人が前向きになって行動が変わった、栄養指導の話が役に立ったよなどと言われることが一番嬉しい瞬間ですね。
特定保健指導の、病気になっていない人たちへアプローチを行い、病気にならないようにせき止めるという考えも自分自身の考えに合致していました。
今は営業職として、健康保険組合様と打ち合わせをしてプログラムを進めて行くことが業務の中心になりましたが、面談も併せて行っているので、いろいろな人のニーズに対応できるように自分のストライクゾーンを広げることを心がけています。

特定保健指導は管理栄養士以外の職種でも行うことができる業務なので、その中で管理栄養士の立ち位置をしっかり持ちたいです。医師や保健師さんには遠慮して言えないことが管理栄養士には言えることもあります。本音をぶつけてもらいやすくより身近な立場からお話ができる職種だと思っています。
ただ、特定保健指導も始まってから10年目となり、複数回対象となっている対象者さんも多くて、年々マンネリ化が強くなっています。 そこで何かマンネリ防止の方法が無いかと考えたのが、整体でした。
現在私は整体を学んでいるのですが、整体など効果がわかるものを栄養指導に取り入れることで、受診者にも満足感を付与できるのではないかと考えています。 仕事が忙しく時間がないと言っている人でも整体の日は必ず早く切り上げて受診しています。これは効果が体感できるから行動に移しているのではないでしょうか。これに栄養指導を組み合わせることなどができればマンネリ化の防止になるのではないかということです。

これからの将来像について

将来的には整体と栄養指導を組み合わせた活動を行い、いやいや栄養指導に来ている人の行動変容を起こしたいですね。
特定保健指導は知れば知るほど自分のアプローチ方法を考えて患者さんの行動変容につなげていくことができます。食の知識を持っていると思われることもプラスです。ただ、その知識はインターネットで簡単に得ることができます。今の状況のままだとインターネットの情報をただ伝えるだけの栄養士は時代に取り残されてしまうかもしれません。
そうならないためにもAIやICT等ではできない、パーソナルな方向に軸足を置いた活動を行い、新しい形での対応を目指したいです。

管理栄養士、栄養士を目指す人へ

私が新卒の時は、何をやりたいかという事に非常にフォーカスしていました。国家試験対策で忙しくて、就職活動もゆっくり出来ない状況でした。
人生は長いので、管理栄養士としてのキャリアのことだけでなく、どんな人生を歩みたいかもしっかり考えた方が良いかもしれません。土日の休みが良いのか? バリバリ働いていきたいか? など、自分の目指すライフスタイルを考えて業種を選んでもいいのではないでしょうか。何をやりたいかとその先のライフスタイルまでイメージできると、離職率も低くなるのではないかと思います。 学生の頃に比べて、社会人はとても自由です。経験は時間があれば積めるので、急がずに、自分の生き方もしっかり考えてみてほしいと思います。

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みんなのコメント( 2

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      1283日前

      Eatreat編集部です。特定保健指導に力を入れて活動されている福島綾子さんへのインタビュー記事をご紹介します。

      拍手 0

    • ID: 313
      2319日前

      菊池さん 素敵です。自分の生き方を見つめ直してみます!

      拍手 1

WRITER

新しい特定保健指導で対象者さんの行動変容を促したい - 福島綾子さん

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