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今回は、前回のコラム脂質異常症の食事について① コレステロールと食事の注意点の続きです。

家族性高コレステロール血症

生まれつきコレステロール値が高かったり、食事に気を付けても、薬を飲んでも数値が下がりにくい…という方は、もしかしたらFH(Familital Hypercholesterolemia)かもしれません。
これは、遺伝的に肝臓でのLDLの受け皿が少なくなるという異常であり、肝臓で取り込めないLDLが血中に溜まってしまう疾患です。FHの体質の家系では、家族の2人に1人がFHになると言われています。生まれた時からLDLが高いため、動脈硬化の進行が速くなります。そのため、早期発見がポイントとなります。早期発見ができれば、子供への治療も早くできます。ちなみに、子供の頃には現れないのですが、FHの最大の特徴はアキレス腱が厚くなることで、これは早期発見の一つのポイントです。
FHについては食事療法がなかなか効きづらいのですが、コレステロールは腸から吸収されるため、LDLが高くならないように、野菜から先に食べる習慣を付けるといいでしょう。

中性脂肪について

ここからは、中性脂肪について考えていきます。
中性脂肪は人間の身体を動かすエネルギー源であり、トリグリセライド(トリアシルグリセロール:以下、TG)と呼ばれます。
食事からの脂質は、小腸から吸収されて血中に入るのですが、エネルギーとして使い切れなかった分がTGとして、溜まっていきます。身体に付いたプヨーンとしたぜい肉は、皮下脂肪と言われますが、この部分がTGです。内臓を守り、体温を一定に保つ働きもあるので、ある程度の数値は必要になります。
しかし、TGが増え過ぎると、脂質の代謝に異常が出てきやすくなり、LDLコレステロール(以下、LDL)が小型化してしまいます。小型化したLDLは、動脈硬化を進行させます。また、TGが減ると、小型化したLDLも普通の大きさに戻ることもわかってきています。 動脈硬化を予防するためにも、TGを増やさずに減らすよう心がけていくことが重要です。
TGが高くなる要因としては、糖質や炭水化物の摂り過ぎ、アルコールの飲み過ぎが考えられます。

食事療法のポイント

TGを増やさずに減らすための食事療法のポイントは以下の通りです。

①ごはんのおかわりは控えめに
②砂糖・菓子類・嗜好飲料は控えめに
特に、寝る前の飲食はやめましょう。果物も摂り過ぎないようにしましょう。
③飲酒は控えめに
主治医と相談しながら、たしなむ程度がいいでしょう。
相談の際、主治医に『少しは、飲んでいいですか?』と聞くと、主治医の『少し』とご本人の『少し』の認識が異なっている場合があるので、『ビール○○mlを○本だったら、飲んでいいですか?』と、具体的に相談することをお勧めします。

健康診断で計測されるのは、食事からのTG(外因性TG)ではなく、余分なエネルギーとして、いったん肝臓に入った脂肪が、再び血中に流れたTG(内因性TG)の量です。そのため、健康診断では、前日の食事時間や当日の食事の摂取状況で検査値が変わってくることもあります。

脂質異常症の診断基準

最後に脂質異常症の診断基準についての数値を記しておきます。健康診断の結果の目安にしてください。

・高LDLコレステロール血症:140mg/dl以上
・境界型高LDLコレステロール血症:120~139mg/dl
・低HDLコレステロール血症:40mg/dl未満
・高TG(中性脂肪)血症:150mg/dl以上
─動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療ガイド2013版より─

元気な毎日を過ごすには、正しい生活習慣を続けることが大事です。まずは、『続けやすさ』をポイントに対策法を選んでみてくださいね。

参考文献
日本動脈硬化学会(www.j-athero.org/)

 

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みんなのコメント( 1

    • ID: 182
      2708日前

      勉強になります。

WRITER

小山 幸子

現在は病院、クリニックでの食事サポート、調理実習のほか、食コラムの執筆等。 『この食事が、人生で最後の食事かもしれない』を、モットーに業務に携わっている。 メカオンチのあがり症。 高校卒業後、会社員として8年間勤務後、26歳で栄養士養成校へ。 教員より年上の生徒だった経験を持つ異色の栄養士。 毎日書道会 会友 (雅号:小山 桃花)

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