前回のコラムはこちら。「人はなぜ太るのか ①「太る」とはどういうこと?」
今回は、太りやすさと体質の関係、そして「メタボ」についてです。
「太りやすさ」と生まれつきの体質
生まれつきの体質は、「太りやすさ」にどのくらい影響するのでしょうか? 遺伝子が肥満の発生や脂肪の蓄積に関係していることは、多くの研究から明らかになっています。また、最近では、誕生前の母親の胎内環境の影響に注目が集まってきています。妊娠・出産適齢期の女性が、ダイエットによってエネルギーや栄養の状態不足でいると、胎児は脂肪をためやすくなる可能性があります。
肥満そのものは病気ではありませんが、生活習慣病の元になりやすいことは明らかです。食品があふれている時代ではそのような体質の方が、肥満や生活習慣病のリスクも高くなるので注意したいところです。
メタボとは
メタボとは、メタボリックシンドロームのことで、おなかの周りに脂肪がつく内臓脂肪型肥満に加え、高血糖・高血圧・脂質異常といった、生活習慣病の危険因子を併せ持っている状態のことを言います。これは健康とは言えない、生活習慣病の一歩手前の状態であり、いわば病気『予備軍』です。自覚症状がないため、放置しておくと動脈硬化などが進行しまうため、初期の時点で対処をし、重症化を防ぐことが重要です。
油断ならない「やせメタボ」
2017年3月、日本での「やせメタボ」の人数が914万人に上ることが発表されました。男性380万人に対して、女性が534万人と、圧倒的に女性が多いのが特徴です。
「やせメタボ」とは、腹囲が基準値(男性85cm、女性90cm)未満、体格指数(BMI)が25未満でも、高血圧・高血糖・脂質異常のうち、2つ以上に当てはまっていることを言います。やせメタボに該当する人は、内臓脂肪が多く、体力も低下しているという報告があります。やせメタボ増加の背景には、肝臓は正常でも、筋肉でインスリンがうまく作用せず、糖を取り込みにくい体質の方が増えていることが関係しているとも言われています。
太っていなくても、日頃から栄養バランスを整えて、運動など健康的な習慣をつけることが、生活習慣病の予防に欠かせませんね。
参考文献:
ヘルシーダイアリー2016 公益社団法人 日本栄養士会
厚生労働省ホームページ http://www.mhlw.go.jp/
日本肥満学会ホームページ http://www.jasso.or.jp/
日本栄養士会ホームページ https://www.dietitian.or.jp/
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