引き続き、脂質異常症についてお話します。
前回のコラムはこちら。『脂質異常症になりにくい食事の工夫①』
盲点!?食後高脂血症に注意
食後の中性脂肪値が高くなる食後高脂血症は、空腹時の検査ではわかりません。そのため気が付かないうちに動脈硬化が進んで、心疾患の原因になることがあります。
食事をした後、中性脂肪が分解され細胞に取り込まれたり、肝臓に送られたりするプロセスに時間がかかる方がいます。そうなると、血液中に中性脂肪の量が増えて、食後高脂血症へとつながるのです。
通常は脂質が多い食事をした後、食後3~4時間で中性脂肪がピークになり、6~8時間で元に戻ります。食後高脂血症の方は、ピークが5~6時間後になり、食事を開始して8時間経過しても、空腹時の値まで戻らないということが起きます。これは中性脂肪の値が高い時間が長いということです。そのため、食後の中性脂肪値が高いほど、心疾患のリスクも高まると言われています。また、この検査を実施している医療機関は限られており、検査によっては保険適用外になります。
脂質異常症の主な原因について
脂質異常症は、生活の習慣がもたらす疾患です。脂質異常症の原因は様々ありますが、大きく原発性と二次性(続発性)との2つに分けられます。
①原発性:家族性脂質異常症・遺伝によるもの
②二次性(続発性):他の疾患や薬剤によるもの・生活習慣の乱れ
このように、脂質異常症の原因は1つとは限らず、複数の原因のケースもあります。脂質異常症になりやすい体質を持っている方が生活習慣を乱すと、脂質異常症のリスクは高まります。逆に、遺伝子や体質を持っていても、食事や生活習慣に気を付ければ、発症を防ぐことができるのです。
また、体重も気になるところです。問題なのは、本来はたまることが少ない内臓の周りに、脂肪が蓄積される内臓脂肪型の肥満です。内臓脂肪は、生理物質のサイトカインの中で、動脈硬化を進める悪い方に働くサイトカインを多く分泌します。そして、動脈硬化を抑えるいい働きをするサイトカインを減らしていきます。
参考文献
日本動脈硬化学会 http://www.j-athero.org/publications/
『脂質異常症<コレステロールと中性脂肪>─最新の食事療法─<患者のための最新医学>』寺本 民生 高橋書店 2016
『きょうの健康』2017年2月号 NHK出版 2017
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