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続いては、嚥下食の段階についてわかりやすくまとめた嚥下調整食の分類についてです。
前回はこちら。『嚥下食とは ①~役割と嚥下のメカニズム~』

嚥下機能の評価

嚥下調整食の段階を決めるのに重要になるのが嚥下障害の評価です。
本来、厳密な評価のためには「嚥下造影検査(VF)」や「嚥下内視鏡検査(VE)」など、機器による精密な検査にもとづく判定をするべきですが、すべての患者さんにこの検査を行うことは難しいため、一般的にはスクリーニング検査(スクリーニングテスト)と呼ばれる臨床評価を行います。

摂食・嚥下機能のスクリーニングテストの流れの例

スクリーニング検査とは、より多くの人を対象に比較的簡易的な検査を行い、何らかの疑いがある人を絞り込む検査です。摂食嚥下障害のスクリーニング検査は、嚥下機能を「反復唾液嚥下テスト」「水飲みテスト」「フードテスト」により評価します。これらの検査を行い、フローチャートを使って総合的に判断して、嚥下障害かどうかの診断を行います。また、スクリーニング検査の前には面接を行い、既往歴や現在の症状、食事の様子や、食事のときに困っていることなどをヒアリングし、診断に役立てていきます。

スクリーニング検査の例
次の①~③の順に進めていきます。
①反復唾液嚥下テスト(RSST)
自分の唾液を一定の時間内に何回のみこめるかを測定。30秒以内に3回未満であれば問題ありと評価する。
②改訂水飲みテスト(MWST)
冷水3mlを飲んでもらい、その後、反復嚥下を2回促す。湿性嗄声(ガラガラ声)の有無やむせた/むせないなどを評価する。
③フードテスト(FT)
スプーンを使ってプリンやお粥などの食物を飲んでもらい、嚥下反射があるか、湿性嗄声の有無やむせがないか、呼吸の変化がないかなどを観察。

嚥下調整食の分類について

2013年、日本摂食・嚥下リハビリテーション学会が「嚥下調整食学会分類2013」を発表しました。この学会分類2013は、食事ととろみ付けの分類を示したものです。この分類作成にいたった背景には、国内で嚥下調整食の段階を統一したものが存在しておらず、地域や施設独自に作成された多くの名称や段階が混在していたことです。現在の日本では医療連携が進められており、急性期病院・回復期病院・施設・在宅などの垣根をこえたケアがなされていることから、嚥下調整食の基準や名称が統一されました。

早見表で見る食事内容のめやす

嚥下調整食の段階は5段階で示されており、嚥下訓練食品0j、嚥下訓練食品0t、嚥下調整食1j、嚥下調整食2-1、嚥下調整食2-2、嚥下調整食3、嚥下調整食4と表示しています。

①嚥下訓練食品 【0j】
食物テストや経口での食事を始める際などの嚥下訓練食品の位置づけにあります。均質で、付着性・凝集性・かたさに配慮した、やわらかく、離水がないゼリーです。
スライス状にすくうことができ、スプーンですくった時点で適切な食塊状となっているものです。
②嚥下訓練食品【0t】
均質であり、付着性・凝集性・かたさに配慮したとろみ水です。
③嚥下調整食【1j】
均質であり、付着性、凝集性、かたさ、離水に配慮したゼリー・プリン・ムース状の食品です。
④嚥下調整食【2-1】
料理をピューレ・ペースト・ミキサー食などの粒がなくなるま状態にまでなめらかにして、べたつかず、まとまりやすいものです。スプーンなどですくって食べることが可能なものです。
⑤嚥下調整食【2-2】
料理をピューレ・ペースト・ミキサー食などなめらかにしたもので、粒がありますが、離水がなく、べたつかなず、まとまりやすい形状のものです。スプーンなどですくって食べることが可能なものです。
⑥嚥下調整食【3】
形を残しているが、簡単に押しつぶすことができ、やわらか食・ソフト食と呼ばれるようなものです。食塊を形成したりすることが簡単なもの。咽頭でばらばらにならないもの、嚥下しやすいように配慮された食事です。
⑥嚥下調整食【4】
かたさがあり、ばらけやすさや粘りつきやすさなどがないもの。箸やスプーンで切れるやわらかさの食事です。

 

参考文献
・『口から食べる嚥下障害Q&A 第4版』 藤島一郎 2011年 中央法規出版株式会社
・日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013 https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf
・平成28年版高齢社会白書(概要版)http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/html/gaiyou/s1_1.html
・嚥下食ドットコム http://www.engesyoku.com/
・日本介護食協議会 http://www.udf.jp/index.html
・『介護食ハンドブック』 手嶋 登志子編著 2010年 医歯薬出版株式会社
・『病院・施設のための嚥下食ピラミッドによる咀嚼・嚥下困難者レシピ100』栢下 淳 編著 2009年 医歯薬出版株式会社

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『比叡病院 管理栄養士 山本茂子さんインタビュー/嚥下食レシピコンテストで優秀賞を獲得するまで』
『在宅介護における「介護食」の実際①』
『経腸栄養、口から食べる大切さ』

みんなのコメント( 2

    • ID: 337
      2551日前

      ガンのご主人のために嚥下食の本を出した方が最近話題ですね。

    • ID: 324
      2551日前

      嚥下食の簡単レシピ情報が欲しいです。

WRITER

Eatreat 編集部

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