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管理栄養士が開催する料理教室のコツ・男の料理教室編

過去10年間、月に1回開催してきた男の料理教室は、のべ1000人の男性が参加されました。そこで感じたことは、女性向けとは違った配慮が必要だということです。そんな超初心者男性向けの料理教室について紹介します。

妻に申し込みをさせる理由とは

教室は平日午前中開催のため、必然的に定年後の男性が集まりました。おもしろいことに妻が電話で申し込みをするパターンが多かった記憶があります。料理が初めてという男性にとって、料理教室の申し込みはかなり勇気のいる行動なのです。気になる、行きたい、でも不安…そんな気持ちから、妻に偵察させるのです。年配男性の中には、男が料理をするなんてカッコ悪い気がするという方もいます。実は本人が気になっているのに、妻が行けと言うから仕方なく…・といった体裁をつくる方もいます。それだけ彼らにとって料理教室への参加はハードルが高いことということを理解しておきましょう。

集中しすぎて見逃してしまう真面目さ

料理教室では通常、複数の料理を複数のメンバーで作ります。一品であればレシピ通りに①から順に作業を進めていけば出来上がりますが、教室ではそうはいきません。分担した自分の作業に集中して、他の人の作業を見逃してしまい、いつの間にか出来上がっていたように感じてしまうのです。そうなると、自宅で復習することができません。私が開催していた教室では、1グループに1名のスタッフを付けていたので、要所ごとに声掛けをして、なるべく全員がいろんな作業を経験できるように配慮していました。

料理用語が意外に難しい

料理には曖昧な表現が多いです。家庭料理のレシピの分量なんてそもそも目安です。きっちりg(グラム)で書かれている給食用レシピとは違い「じゃがいも 3個」、「塩 ひとつまみ」と、そもそもアバウトです。主婦であれば経験値でどうとでもできますが、そこは初心者さんには難しいのです。「ひたひたの水は何mlですか?」、「ふつふつしてきたらって何℃くらい?」と、客観的な数値で知りたくなるのが料理未経験男性です。しかし、数値で表現するのも難しいものなので、そんな場合は見てもらって覚えるしかありません。各自の作業を一旦止めてもらってポイントとなる状態を確認してもらうとよいでしょう。

家庭料理は仕事と同じPDCAサイクル

料理教室では材料が準備されていますが、家庭で料理を行う場合はどうでしょう。献立を決めて買い物に行かなければなりません。それから調理開始、出来上がったら盛り付け、食べたら片付けまでが料理です。これは、ビジネスでいうPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の繰り返しと同じです。もし、スーパーで予定外のお買い得品を見つけてしまったら計画の練り直しです。肉じゃがを作る予定だったけど、賞味期限が切れそうなカレールウを見つけてしまったら実行を急遽変更です。こうした臨機応変な対応ができるようになったら初心者卒業です。料理は仕事と同じだということを伝えましょう。

男性が料理をすると確実にモテる

受講生さんはリピーターさんばかりでした。料理が楽しいのです。楽しくなければ続けられません。
ある時、Sさんの泡だて器の使い方を褒めたことがありました。実はSさん、料理が楽しくなってお菓子教室にも通い始めたそうです。「最初は失敗したけどシフォンケーキが得意です」と言われていました。お孫さんにリクエストされることが多いとか。Mさんは、料理を覚えてから妻に感謝するようになったそうです。片付けも積極的に行うようになったため、夫婦の会話も増えたのだとか。
料理をする男性は家族にモテます。定年後に居場所をなくす男性が多いと聞きますが、料理ができればやることがないなんて言ってられません。定年後の居場所は、キッチンにすることを強くおすすめします。

管理栄養士が開催する料理教室のコツ・男の料理教室編

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管理栄養士が開催する料理教室のコツ・男の料理教室編

黒栁 桂子

皆さんが知ってる刑務所給食とはどんなイメージでしょうか。俗に「クサイ飯」などと揶揄されますが、とんでもありません。 私が作成した献立を「クサイ飯」だなんて言わせてたまるか!そんな気持ちでつくっています。 管理栄養士歴28年 病院では栄養指導、老人施設や学校では給食管理、講師業では料理教室やセミナー等を開催してきました。 今後特に力を入れていきたいのは「食育」です。 食育というと子ども対象に考えられがちですが、大人にも必要だと気づきました。そして料理超初心者男性向けの料理教室を10年間開催し、その受講生はのべ1000人を超えます。その経験を男子刑務所の中で活かしています。

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