-
- 栄養の知識・食育
- 2019.04.12
もしかしてあなたも低栄養?(会報誌「あはは」連載)
このシリーズは、株式会社シニアライフクリエイトの会報誌「あはは」に掲載された管理栄養士による、毎日の生活に取り入れやすく、心も身体も元気になれる生活習慣のアドバイスをリライトしたものです。
今回のテーマは、『低栄養』です。みなさまは低栄養と聞いて、どのようなイメージを思い浮かべますか? まさか自分は違うだろうと思っていらっしゃるかもしれません。しかし、低栄養はシニアのみなさまにとってとても身近な状態です。ぜひ、ご自身の健康状態を振り返ってみる機会にしてください。
低栄養ってなに?
低栄養とは、健康な体を保ち活動するために必要な栄養素の摂取が、必要量より少ないときに起こる体の状態をいいます。
ひょっとすると読者の皆様のなかには、「肥満は生活習慣病の原因になるから、痩せているくらいのほうが健康で良い」と思われている方がいらっしゃるかもしれませんが、実際は、痩せていることにより心身に生じるデメリットは数多くあります。元気で健康な毎日を過ごすためには適正な体重を保つことが大切になってきます。
低栄養になって困ること
低栄養がどのような点で良くないのかというと、まず、食事の摂取量が少ないことにより体重が減ることです。体重が減ると、筋肉量が減少することにより身体機能が落ちてしまいます。例えば、転倒しやすくなったり、寝たきりになるリスクが高まったりします。そうすると、よけいに活動量が減るために、何に対してもやる気が起こらなくなったり、食欲が減退したりするという悪循環に陥ります。食事量を適正に摂れていないと、免疫力が低下するため感染症にかかりやすくなります。また、皮膚や筋肉の機能が低下することで褥瘡(床ずれ)や浮腫が起きやすい状態を招くことになります。「痩せているほうが良い」というのは危険な認識なのです。
実はシニアの約5人に1人が”低栄養傾向”
実際に今、シニアの方のうちどれくらいの割合で低栄養の危険があるのかというと、65歳以上の低栄養傾向(※ BMI≦20 kg/㎡)の方は、男性は12.5%、女性は19.6%という割合になっています。さらに80歳以上では、男女ともに約5人に1人が低栄養傾向という割合となっています。
シニアの方の低栄養傾向の割合はここ10年横ばいであり、状態は改善されていない現状があります。低栄養を引き起こす要因として考えられるものには複数あります。
低栄養をひきおこす主な要因
低栄養はどのようなことが関係して引き起こされるのかというと、身体の変化と心の変化のどちらもが影響しています。
生活環境の変化
誰かと一緒に食べていた食事が一人になったことで、食事を作るのが面倒になり、食べるものが偏り、栄養バランスが崩れる
加齢による身体の変化
加齢に伴う味覚の変化により、今までよりも濃い味付けを好むようになる一方、濃い味付けだけに飽きてしまい、薄味にすると食欲が減退する。また、噛む力や飲み込む力が弱くなることでうまく食事をとることができないようになり食事量が減少する
精神的な影響
定年退職したり、趣味をもたなくなったりすることで、日々の張り合いがなくなり気持ちがふさぎがちになる
心あたりはありましたか?「自分が低栄養なんて…」と思わず、まずは今、心身がどのような状態であるか振り返ってみてください。低栄養チェックリストも載せていますので、併せてご覧ください。
【低栄養チェックリスト】
1つでも当てはまるものがあると低栄養の可能性があります。
○体重が減ってきた(6ヶ月に2〜3k以上の体重減少)
○筋肉量や筋力が減ってきた
○元気がない
○風邪や感染症にかかりやすく、治りにくくなった
○傷や褥瘡(じょくそう)が治りにくい
○下半身や腹部がむくみやすくなった
まとめ
今回は低栄養になる要因や低栄養のリスクなどについてお伝えしました。次回は、低栄養にならないためにどのようなことに気をつけたら良いのかについて、「エネルギー」をテーマにお話していきます。それでは次回をお楽しみに。
参考文献:
・厚生労働省ホームページ 平成29年「国民健康・栄養調査」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf
・公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rounensei/tei-eiyou.html
・月刊ケアマネジメント2013.2
http://www.silver-news.com/careman/1302-1.pdf
情報提供:株式会社シニアライフクリエイト会報誌「あはは」
株式会社シニアライフクリエイトについては
こちらをご参照ください。
みんなのコメント( 1 )
-
-
-
- Eatreat 編集部
- 2050日前
Eatreat編集部です。今回は、株式会社シニアライフクリエイトの会報誌「あはは」に掲載された管理栄養士による栄養についての情報です。
"食事と栄養"のバックナンバー
-
- 栄養の知識・食育
- 2020.04.06
おやつを取り入れて低栄養を予防!(会報誌「あはは」連載)
-
- 栄養の知識・食育
- 2020.02.07
食事で身体のバリア機能を高めよう!(会報誌「あはは」連載)
-
- 栄養の知識・食育
- 2019.12.16
朝食を味方に元気な1日を過ごしましょう(会報誌「あはは」連載)
-
- 栄養の知識・食育
- 2019.09.13
夏バテ知らずで元気な毎日を過ごしましょう(会報誌「あはは」連載)
-
- 栄養の知識・食育
- 2019.09.04
こまめな水分摂取で身体に潤いを与えましょう(会報誌「あはは」連載)
-
- 栄養の知識・食育
- 2019.07.22
塩分控えめな食事のススメ(会報誌「あはは」連載)
-
- 栄養の知識・食育
- 2019.07.08
たんぱく質を毎食こまめに摂るには?たんぱく質の重要性(会報誌「あはは」連載)
-
- 栄養の知識・食育
- 2019.05.29
エネルギーをしっかり摂って低栄養を予防する(会報誌「あはは」連載)
-
- 栄養の知識・食育
- 2019.04.12
もしかしてあなたも低栄養?(会報誌「あはは」連載)
-
WRITER
-
Eatreat 編集部
Eatreat編集部
関連タグ
関連コラム
-
- 特定保健指導
- 2019.10.07
やせの方への指導 -より効果的な時間にするために-
-
- 栄養の知識・食育
- 2019.05.29
エネルギーをしっかり摂って低栄養を予防する(会報誌「あはは」連載)
-
- 高齢者の食事・介護食
- 2019.01.11
⑤介護食の調理に役立つ便利なグッズ
-
- 栄養の知識・食育
- 2017.05.12
三食食べてもダメ?新型栄養失調とは?
-
- 管理栄養士・栄養士の仕事
- 2021.08.19
地域の方へのセミナーを通じて
"栄養の知識・食育"に関するコラム
-