COLUMN
  • 妊娠・出産・育児
    2020.07.10

    毎日の負担が減る!「ベビーフード」のことを知ろう!

  • posted by 隅 弘子

女性の社会進出や核家族化をはじめ、「母親」に対する価値観が多様化したこともあって、ベビーフードは子育てをするパパやママにとって必須アイテムの一つになってきています。ベビーフードは食事メニュー以外に、飲料やおやつといったジャンルも広がってきています。「使ってみたいと思う気持ち」と「手作りを提供したいという」思いをどう両立していくのかを一緒に考えていきましょう。

3割の保護者が感じる離乳食への負担感

平成27年乳幼児栄養調査において、「作るのが負担、大変」と回答した保護者の割合は33.5%と最も高く、約3割の保護者にのぼりました。保護者の中にはもともとキャリアウーマンでほぼ外食生活だった方や、料理への苦手意識を持つ方もいらっしゃることを考えると納得の反応ですよね。とはいえ、赤ちゃんの急激な成長と発達に必要な栄養は、乳汁以外からも摂ることが必要なので、離乳食を介していろいろな食べ物を食べる練習をしなければなりません。
手作りを基本とし、家庭で食べる食事に少しずつ近づけていくのが離乳食期ですが、離乳食を作ることへの負担が少しでも軽減するのであれば、ベビーフードの賢い使用はその解決の一つとなることでしょう。

種類がたくさん!実際の商品を見てみましょう!

ベビーフードは、今や500以上※1にものぼる種類があり、離乳初期から使えるものなど、さまざまな製品が売られています。形状、メインやサブとしての使用、飲料・おやつなど、いろいろなものがあります。ドラッグストアやスーパーなどをみても各種多様です。また、大手メーカー以外でも有機野菜や農薬不使用など、食材にもこだわった商品もあり、保護者皆さんの要望に応える離乳食を支えるラインナップとなっています。保育所などでも活用できそうな商品としても開発されています。

瓶・プラスチック
•開けてそのまま食べられる
•お出かけ先での食事・持ち運びにも便利

レトルトパウチ
•温めたり常温でも食べられるタイプあり
•かさばらないので買い置きにも便利

フリーズドライ
•お湯をかけて溶かしたりして調理。離乳食作りの時短、他の離乳食と組み合わせるなどアレンジしやすい

ベビーフード使用に際してのメリットとデメリット※2

手軽に使える反面、頼りすぎることについては課題もあります。ベビーフードを利用する際のメリットやデメリットを見ていきましょう。

【メリット】
●月齢に合わせて粘度、固さ、粒の大きさなどが調整されているので、離乳食を手作りする場合の見本となる。
●製品の外箱等に離乳食メニューが提案されているものもあり、離乳食の取り合わせの参考になる。
●単品で用いる他に、手作りの離乳食と併用すると、食品数、調理形態も豊かになる。

【デメリット・気を付けたい点】
●多種類の食材を使用した製品は、個々の味や固さが体験しにくい。
●ベビーフードだけで1食を揃えた場合、栄養素などのバランス取りにくい場合がある。
●製品によってはこどもの咀しゃく機能に対して固すぎたり、軟らかすぎたりすることがある。







便利だからこそ知っておいて欲しいこと

鮮度の良いものの調達や下ごしらえが面倒のため、なかなか購入する機会の少ないレバーなどは、鉄分摂取のためにも助かる存在かも知れません。ただし、幼児食期以降でのレトルトタイプのフードの場合、硬さが咀しゃくの力と比べると柔らかい傾向にあるので、注意が必要でしょう。また、一旦開封したものは、その時に使い切るようにしましょう。衛生管理に気を付けるのは手作りの時と共通の注意点です。パッケージの注意書きをよく読むことも忘れないようにしましょう。

ベビーフードって味が濃くないですか?という疑問

食事相談を受けていると、保護者の方からベビーフードは味が濃いように思うという反応をよく耳にします。本当に塩分が濃いのでしょうか?

(参照:日本ベビーフード協議会のホームページより※3)

味を感じる要素(五味)には塩味だけではなく、うま味を聞かせることで味がしっかり感じることができます。市販のベビーフードは、このうまみ味を効かせるために旨みエキスなどを活用するため、少量での塩味でもしっかりと感じられるのでしょう。子どもの味覚にあった基準のもと、調製されているので、手作りをする離乳食の工夫として塩味だけに頼らず、うま味を効かせる作り方などを心がけたいものですね。

頑張りすぎている保護者にもおすすめ!

「たまには大人も刺激的なメニューを食べたい!」と思った時は思い切ってベビーフードを活用し、ママやパパ自身の心の栄養を優先してあげることも楽しい食卓の雰囲気作りに役立つと思います。最近は情報過多の子育てで、離乳食作りは頑張って作っているけど、育てている側の大人の方が栄養失調気味のような気がしてなりません。見栄えする美味しそうな離乳食を与えた後、親はこっそりキッチンで菓子パンだけなどということもあるようです。体力・気力が必要な育児生活を支える上でも、大人の食事も大事です。賢く利用することで育児を負担に感じ過ぎない支援の一つに活用することもよいでしょう。

参考文献
※1日本ベビーフード協議会
  https://www.baby-food.jp
※2厚生労働省 「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改訂版)https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf
  <コラム2> ベビーフードを活用する際の留意点について
※3ベビーフードの自主規格について
  https://www.baby-food.jp/standard/standard.html#standard1

 

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みんなのコメント( 2

    • 川口 由美子
      1622日前

      母子栄養協会の離乳食の考えをそのまま反映している、素敵なコラムですね^^。

    • Eatreat 編集部
      1630日前

      Eatreat編集部です。災害時の備蓄としても役立つベビーフードについてを、イートリスタの隅さんがわかりやすく解説しています。

WRITER

隅 弘子

mamaful代表 一般社団法人日本こども成育協会食専科ディレクター 保育士養成専門学校講師 mama とこどもの愛着形成を食を通じて深めたい! こどもがすくすく育つためにサポートできる栄養士を増やしたい! 気力・体力・忍耐力がモノをいう育児生活。 一組でも多くの親子が「育児が苦しい」から「やっぱり育児は楽しい!」と育児生活を考えてほしいとフリーランス管理栄養士としてmamaful(ママの想いがいっぱいあふれる)と屋号を決め、自らの体験などを活かして活動を始める。親子カフェや市町村主催の食育講座、幼児食講座は人気講座として多くのママの悩みを解決している。また同じ想いをもつ人材の育成にも携わっており、専門家育成にも力を入れている。 ******************* こんにちは。管理栄養士の隅弘子です。 子育てはただ楽しい日々の連続ではありません。 日々成長を感じつつも、 悩みながら、 迷いながら 子育てに励まれていることでしょう。 時には 自分を犠牲にしてでもなんとかしなくては! と頑張り過ぎていることはありませんか?  「子どものために」と一生懸命になることはもちろん愛情を注ぐ上で大切です。ですが、そればかり優先してしまうとお母さんの体力気力が持ちません。 お母さんの笑顔をうみだすためにはお母さん自体の食事、また食の考え方を 整えることも実は大切です。離乳食や幼児食は、食べられる食材の知識や味付けなど工夫が必要な食事と思われていますが、家族一緒に食べられるような食事ってなんだろう?と考えることも実は大切です。 「食べる」ということはじつはとてもシンプルなことであり、 楽しみを感じること。 料理が苦手な人だって大丈夫! 私自体が料理が苦手です^^; 毎日のことだからこそ、実践できることを優先し楽しみながら家族にげんき溢れる食のおけいこを仕事を通して伝えられる栄養士でありたいと思っています。 現在は子育て支援施設内にある食事相談業務のほか、子どもの育ち・成長発達に見合ったアドバイスができる人材の養成を目的とした一般社団法人日本こども成育協会にて食専科ディレクターとしても栄養士の視点を交えながら活動しています。 ■乳幼児向け 都内子育て支援施設内食事相談/ミニセミナー開催(2013.4~) 幼稚園食育イベント監修、楽天レシピお手伝いレシピコンテスト審査員(2014) 市川シャポーさまこども食育イベント実施および料理監修(2015) 千代田区家庭教育学級、神奈川県大和市生涯学習講座にて 「3色食品群を味方につける」講座企画運営(2016) ミキハウス×ベビーカレンダー プレパパ・プレママセミナー2017 神奈川県大和市生涯学習講座「絵本の世界 絵本のなかの料理をつくろう」(2018.3) ■講座講師活動 大戸屋食育セミナー講師/大戸屋社員向け食育研修講師(2010~) ブレインフード協会 ブレインフード講座(2015~) 機能性食品講座(2015~) 味覚カウンセラー協会 味覚カウンセラー講座(2015) 一般社団法人日本こども成育協会 こども成育インストラクター(2017~) 一般社団法人母子栄養協会 学童食アドバイザー(2017) 一般社団法人母子栄養協会 幼児食アドバイザー(2017) 一般社団法人母子栄養協会 妊産婦食アドバイザー(2017) 保有資格 管理栄養士/母子栄養指導士(妊産婦アドバイザー、離乳食アドバイザー、幼児食アドバイザー、学童食アドバイザー)/こども成育インストラクター/健康食育シニアマスター 他

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