COLUMN

はじめに

令和元年12月、厚生労働省より日本人の食事摂取基準(2020年版)の報告書が出されました。皆さんはもう変更点などのポイントを押さられていますか?今回の改定では、健康の保持・増進、生活習慣病の発症及び予防に加えて、新たに高齢者の低栄養やフレイル予防が追加されています。
そこで、「生活習慣病予防編」「フレイル対策編」「食事摂取基準2020年版抜粋編」の3回シリーズで改定のポイントを解説します。

食事摂取基準で扱われる生活習慣病

※以下、厚生労働省資料抜粋
・食事摂取基準の対象は健康な個人及び健康な者とし、概ね自立した日常生活を営んでいる者を中心とした集団とする。また、疾患を有していたり、疾患に関する高いリスクを有していたりする個人及び集団に対して、治療を目的とする場合は、食事摂取基準におけるエネルギー及び栄養素の摂取に関する基本的な考え方を理解した上で、その疾患に関連する治療ガイドライン等の栄養管理指針を用いることになる。

・食事摂取基準で扱う生活習慣病は、高血圧、脂質異常症、糖尿病及び慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)を基本とするが、我が国において大きな健康課題であり、栄養素との関連が明らかであるとともに栄養疫学的に十分な科学的根拠が存在する場合には、その他の疾患も適宜含める。また、脳血管疾患及び虚血性心疾患は、生活習慣病の重症化に伴って生じると考え、重症化予防の観点から扱うこととする。

・食事摂取基準では生活習慣病の発症予防を目的とした目標量を設定しているが、それとは別に、生活習慣病の重症化予防及びフレイル予防を目的として摂取量の基準を設定できる栄養素については、発症予防を目的とした量(目標量)とは区別して示す。

若年時から生活習慣病予防を推進するための改定ポイント

①小児の目標量の新設定
今回の改定において数値が追加されたのは、飽和脂肪酸(3~17歳)、食物繊維(3~5歳)、カリウム(3~5歳)、モリブデン(1~17歳)

②食塩相当量
国内外のガイドラインを検討した結果、高血圧及びCKDの重症化予防を目的とした量は、食塩相当量6g/日未満

③コレステロール
脂質異常症の重症化予防の目的からは、200mg/日未満に留めることが望ましい

次回は、「フレイル対策編」をお届けします。

 

参考文献
厚生労働省ホームページ 日本人の食事摂取基準2020年版のスライド集
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09411.html
日本栄養士会雑誌 第62巻 第11号 日本栄養士会 2019
日本栄養士会雑誌 第63巻 第3号 日本栄養士会 2020

 

横原さんのコラム紹介:初心者でも大丈夫!監査の虎の巻シリーズ
『①監査に必要な資料とポイント~事前準備・心得、衛生関係の帳票~』
『②監査に必要な資料とポイント~衛生関係の帳票~』
『③監査に必要な資料とポイント~給食管理関係の帳票~』
『④監査に必要な資料とポイント~給食管理関係の帳票(続)~』
『⑤監査に必要な資料とポイント~栄養管理関係、その他の帳票等~』
『⑥監査に必要な資料とポイント~監査前後のチェックポイント~』




みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
      1625日前

      イートリートの横原さんが、食事摂取基準2020年版の改定ポイントをわかりやすく解説します。今回は【生活習慣病予防編】です。

WRITER

横原 夢見

病院勤務を経て、現在はフリーランスとして専門学校の非常勤講師、コラム執筆、地域活動などを行っています。

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