COLUMN

1950年に初版が発行された日本食品標準成分表は、2020年12月25日に日本食品標準成分表2020年版 八訂として改訂版が文部科学省より公表されました。
本コラムでは、今回の改訂の三大ポイントに加え、本改訂で大幅に変更したエネルギー値の算出方法についてお話しします。

改訂の三大ポイント

① 調理済み食品に関する情報を充実
  調理済み流通食品の収載、調理関係の各種係数の掲載

「調理加工食品類」として一部の冷凍食品を収載していた18群を「調理済み流通食品類」とし、配食事業者等から収集した原材料配合に基づく成分値が追加収載されました。

②炭水化物の細分化とエネルギーの算出方法の変更
 アミノ酸、脂肪酸、単糖類、二糖類、でん粉等からの算出に変更

・これまで蓄積してきたでん粉類、しょ糖や食物繊維の分析値に基づき、これまでの炭水化物に含まれていた「でん粉と糖類(利用可能炭水化物)」と「食物繊維総量」、「糖アルコール」等が収載されました。
・エネルギー産生成分の実態をより正確にとらえることが可能な組成成分をエネルギーの算出の基礎とする方式が採用されました。
・各組成成分表の収載食品数も増加しました。

③七訂追補(2016~2019)の検討結果を全体に反映

・収載食品数は、2191食品から2478食品へ増加しました。
・既収載の菓子類、加工食品に原材料的食品の成分値の変更が反映されました。
・ナイアシン等量、難消化性オリゴ糖等を含む食物繊維などの成分が追加されました。
・収載食品の解説の充実→食品分別留意点に反映、調理に関する諸表が充実しました。

エネルギー産生成分の変更

出典:文部科学省HP(https://www.mext.go.jp/content/20201225-mxt_kagsei-mext_00432_01.pdf)


炭水化物に関しては、これまで炭水化物に含まれていた「でん粉と糖類(利用可能炭水化物)」と「食物繊維総量」、「糖アルコール」などが収載されました。

従来のエネルギー値の算出方法

たんぱく質(窒素-たんぱく質換算係数を乗じた値)、脂質(脂溶性成分の質量)、炭水化物(差し引き法による値)、その他のエネルギー産生成分(アルコール、酢酸等)の量に、各成分のエネルギー換算係数を乗じて求められていました(修正Atwater法)。

計算式
エネルギー(kcal)=たんぱく質(g)×4+脂質(g)×9+炭水化物(g)×4(+アルコール(g)×7等)

 

新たに取り入れられた「組成ごとのエネルギー換算係数」

原則として、FAO/INFOODSの推奨する方法に準じて、可食部100g当たりのアミノ酸組成によるたんぱく質、脂肪酸のトリアシルグリセロール当量、利用可能炭水化物(単糖当量)、糖アルコール、食物繊維総量、有機酸及びアルコールの量に各成分のエネルギー換算係数を乗じて、100gあたりのkJ及びkcalを算出し、収載値とされています。

計算式
エネルギー(kcal)=アミノ酸組成によるたんぱく質(g)×4.0+脂肪酸のトリアシルグリセロール当量(g)×9.0+利用可能炭水化物(単糖当量)(g)×3.75+糖アルコール(g)×2.4+食物繊維総量(g)×2.0+有機酸(g)×3.0+アルコール(g)×7.0

 

使用時の注意点

日本食品標準成分表2020年版 八訂を用いて食品や食事のエネルギー量を算出すると、実際の摂取エネルギー量に近似させることができます。しかし、これまでの方法で算出したエネルギー値との比較ができなくなりますので、こちらに配慮してのご使用をおすすめします。

 

参考文献
・文部科学省HP:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)、文部科学省、https://www.mext.go.jp/content/20201225-mxt_kagsei-mext_01110_011.pdf(閲覧日:2021年1月13日)
・文部科学省HP:「日本食品標準成分表の改訂について」、文部科学省、https://www.mext.go.jp/content/20201225-mxt_kagsei-mext_00432_01.pdf(閲覧日:2021年1月13日)

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
      1400日前

      昨年末に日本食品標準成分表2020年版 八訂が公表されました。今回は七訂から大きく改訂されたポイントがあり、注目が高まっています。こちらのコラムでは、改訂の三大ポイントや大幅に変更したエネルギー値の算出方法について、イートリスタの横原さんが解説します。

WRITER

横原 夢見

病院勤務を経て、現在はフリーランスとして専門学校の非常勤講師、コラム執筆、地域活動などを行っています。

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