私たちが日常的に食べている食品の栄養成分などのデータが収載されている食品成分表は、2000年の五訂成分表以降、5年ごとに改訂されています。
今回は、七訂成分表から八訂成分表への改訂ポイントについておさらいしましょう。
改訂ポイント① 調理済み食品に関する情報を充実
七訂成分表では、「18群:調理加工食品類」として冷凍食品などが収載され、「そう菜」などの調理済み食品は、「資料」として収載されていましたが、八訂成分表では、「18群:調理済み流通食品類」と名称を変更し、「そう菜」も本表「18群:調理済み流通食品類」へ移行されています。
これにより、食品成分表の利用者は、そう菜などの栄養成分の計算も手軽に行えるようになりました。
改訂ポイント② 炭水化物の細分化とエネルギーの算出方法の変更
■炭水化物の細分化
七訂までの食品成分では、「炭水化物」は消化性が低い食物繊維や糖アルコールから、消化性が高いでん粉、単糖類、二糖類までの多様な成分を含んでいました。
糖類の摂取量、摂取エネルギーを正しく把握するためには、食品ごとの炭水化物の内訳を示すことが重要と考えられ、八訂成分表から「炭水化物」は、「でん粉と糖類(利用可能炭水化物)」と「食物繊維総量」「糖アルコール」等が本表に収載されています。
■エネルギーの算出方法の変更
食品ごとにエネルギー換算係数を乗じて算出していたエネルギーについて、国際的な枠組みであるFAO/INFOODSが推奨する組成成分を用いる計算方法を導入することにより、より正確に捉えることが可能となっています。
改訂ポイント③ 七訂追補(2016~2019)の検討結果を全体に反映
七訂成分表以降は、5年ごとの改訂を待たずに「追補」「データ更新」として、その都度公表されています。八訂成分表は、七訂追補などで新たに収載または成分値を変更した食品の成分値を全て反映しています。
■収載食品数の増加
2,192食品(七訂成分表)→2,478食品(八訂成分表)
■既収載の菓子類、加工食品に原材料的食品の成分値の変更を反映
※原材料的食品の成分値の変更
生物の品種、生産条件等の各種の要因により、成分値に変動があることが知られているため、これらの変動要因に留意し食品が選定されています。
また、「生」「乾」など未調理食品を収載食品の基本とし、摂取の際に調理が必要な食品の一部について「ゆで」「焼き」などの基本的な調理食品を収載し、刺身、天ぷら、から揚げ、とんかつ等も収載されるようになりました。
■成分の追加
ナイアシン当量、難消化性オリゴ糖を含む食物繊維
■収載食品の解説の充実
食品分別留意点に反映、調理に関する諸表を充実
※調理に関する諸表
調理による質量及び成分の変化について、摂食時により近い食品の成分値の計算を容易にするため、「調理方法の概要」および「重量変化率表」、「調理による成分変化率区分別一覧」などが資料に収載されています。
まとめ
七訂成分表から八訂成分表に改訂されたポイントは、大きく分けて3つあります。
調理後の成分変化なども考慮され、より実用的に正確に栄養成分が把握できるよう改訂されました。
また、調理済み食品や加工食品の数も充実し、八訂成分表には、約2500食品が収載されています。
これらの改訂ポイントをおさえて、日々の食事管理や栄養指導に活かしたいですね。
参考文献
・「食品成分表2022(八訂)」、出版社女子栄養大学出版部、(2022年)
・「日本食品成分表2019(七訂) 第4版、医歯薬出版株式会社、(2019年)
・文部科学省 日本食品標準成分表の改訂について
https://www.mext.go.jp/content/20201225-mxt_kagsei-mext_00432_01.pdf
閲覧日:2022年4月10日
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