みなさん、「スチームコンベクションオーブン」という言葉を聞いたことはありますか? 実際に使ったことはありますか?
今回は、スチームコンベクションオーブンを製造販売する株式会社エフ・エム・アイの毛利様にお話を伺いました。
スチームコンベクションオーブンとは?
スチームコンベクションオーブン(=スチコン)のなかった時代、厨房の加熱機器はコンベクションオーブン(焼き物機)とスチーマー(蒸し物機)の2つを用いるのが主流でした。スチームコンベクションはこれらの良い機能+αを兼ね備えた機器で、1台で焼く・蒸すのほかに、煮る・炒める・揚げる・温め直しができます。
人手不足の今、求められるスチームコンベクション
スチームコンベクションがあれば、調理モード(焼き・蒸しなど)・調理温度・調理時間を設定することで、どなたにでも簡単に加熱調理ができます。さらに同時に複合的な調理作業がこなせるので、給食の調理のように短時間で多種多彩な食事を提供しなければない現場において、とても有効な機器です。
昨今、どこでも人手不足が深刻化していますが、給食業界ではこれに加え、スタッフの高齢化も大きな問題となっています。以前は人海戦術で何とか回っていた現場も、現在では限界にきており、不足しているマンパワーを機器でまかなわざるを得なくなってきています。そういう背景から、1台で複数の調理が簡単にできるスチームコンベクションが、さなざまな現場で求められています。
同時に何種類でも加熱調理ができるスチームコンベクション
ここからスチームコンベクションが持つ機能をより詳しく説明します。スチームコンベクションは加熱モードと加熱温度が同じ料理であれば、何種類でも同時に加熱調理することが可能です。その機能を活用すると、治療食など、メニュー名は同じで中身の異なる料理を同時にスチコンで加熱調理ができるので、今までガス台に小鍋を複数並べて調理していた煩雑さから解消されます。
焼き物を作る時などは、付属の芯温計の機能が便利です。目標芯温を設定し食材に芯温計をセットすると、目標芯温に到達するまで確実に加熱するので、熟練スタッフでなくとも生焼けや加熱しすぎを解消でき、焼き物の品質向上にもつながります。
シンプルなボタン操作で簡単なスチームコンベクション!
複数の加熱調理をスチームコンベクションで行うと、当然スチームコンベクションの庫内は汚れてしまいますが、最近のスチームコンベクションは自動洗浄が標準装備となっています。洗浄ボタンを押すと洗剤噴霧もすべて自動で行われるので、強力な洗剤に人が触れなくていいため安全なだけでなく、洗浄中に人が関わることがないので人員が少なくてすみます。
最近のスチームコンベクションの操作パネルは、タッチパネルが主流になっており、操作はスマホかタブレットに近く、タッチペン付きの機器も出ています。しかし給食業界のように短時間で複数の食数を複数人で調理するという中では、なかなかその機能を駆使することが困難な場合もあるからです。その点を考え、敢えてシンプルなボタン操作、数字とカラーですべてを表示するというシンプルなタイプもあります。
スチームコンベクションで一度により多くの調理をするために
また、スチームコンベクションのサイズを小さくするべく、高さを低くするために棚間(シートパンを入れる棚受けと棚受けの間)が狭くなってしまい、標準で使用する65mmシートパンが全段投入できない傾向にありました。そのため、例えば6段のスチームコンベクションでも実際には3段分しか加熱調理できず、生産性が想定より低くなっておりました。その点を考慮し、棚間を広くとり65mmシートパンを全段入れてもシートパン同士に隙間ができ、熱の伝わりに支障をきたさない作業効率アップ型(加熱時間の短縮型)シリーズを出しています。調理回転が減るという事は、生産性の向上と水光熱費の節約にもつながります。
さらに、省エネ型のスチームコンベクションもあります。これは加熱調理中の庫内の熱や蒸気がより外へ漏れないように設計されており、蓄熱性に優れ調理時間の短縮につながるものです。
スチームコンベクションで調理する際扉を開けるのですが、その扉は狭い日本の厨房内では非常に邪魔なものであり、ぶつかって調理スタッフが火傷をする危険性もあります。この開けている間のドアをスライドして収納してしまう機器もあります。
このようにスチームコンベクションといっても、様々なタイプがあります。スチームコンベクションの選定をされる際には展示会ではなく、ショールームでじっくり各機器に触れて、現場の要望にあった機器を選ぶことをお勧めします。患者様や入居者様の胃袋を喜ばせられるのは、お食事を提供している部門だけです。ぜひともスチームコンベクション使いこなし術を学んで、調理の業務改善に役立てください。
スチームコンベクション・大量調理の関連コラム
大量調理のコツと家庭料理との違い
大量調理の献立作成のポイント
調理器具を含めた洗浄方法の紹介
最新 急速冷却機器! ブラストチラーのココがすごい!