検食簿の施設による違い
学校は学校給食法、保育園は児童福祉法により検食が必要とされています。病院は入院時食事療養(Ⅰ)、または入院時生活療養(Ⅰ)の届け出を行っている施設は医師、管理栄養士または栄養士による毎食の検食が必要とされています。さらに、特別養護老人ホーム、養護老人ホームや軽費老人ホームなどは、老人福祉法により、職員による毎食の検食が必要です。
介護老人保健施設では、介護保険法により、栄養ケア・マネジメントを実施していない施設でのみ、検食の実施が必要です。有料老人ホームについては、特に定めがないため自治体の判断によります。施設に必要な書類は管轄の保健所に確認を取り、不明な点はその都度確認をお勧めします。
検食簿のフォーマットについて
検食簿のフォーマットは、検食者の名前、日時、その施設においてチェックしなければいけない項目が含めてあるものとなります。例えば、高齢者施設の場合は固さも彩りも良い食事の提供が求められます。野菜などは加熱をすることで柔らかく食べやすくなりますが、加熱しすぎると彩りが悪くなりますので、バランスが求められます。
また、検食者の事務量を軽減するような配慮も必要な場合があります。記述する量を減らして、「味(良い・普通・悪い)」に〇をつけるだけのシンプルな体裁にするといった工夫をすることで、記入率も上がりやすいものとなります。
検食の必要性
検食については食事を提供する前に、食事における異物が入っていないか、異臭はないかなどの、衛生上の観点と味付けや彩、大きさ、固さ、盛り付けなど各施設における必要な項目をチェックする必要があります。また、施設で取り上げられている問題(例えば匂いなど)があれば、項目に入れておくことで、改善の対策が取りやすくなります。この時、検食者が対象者の気持ちになりチェックを行うのがポイントです。決して、検食者の食事ではないことを理解してもらう必要もあります。検食者が提供することを望ましくないと判断すれば、施設の責任者や施設の栄養士、給食の責任者などにて対応を検討します。
保健所による監査について
通常は、監査の日の1カ月前に保健所から、監査の日と用意しておくべき書類についての連絡があります。(地域により異なることもあるので、事前に確認をしておくとよい。)
検食簿以外の書類についても保管が必要な帳票類であるため、裏紙のようなものの使用や、修正テープや修正液での訂正も不可とされています。
保健所監査の経験から、検食簿を活かし献立に反映することが大切だと思います。合わせて、残食を調査することでより分かりやすくもなります。残食が多いメニューについては、問題を解決して次に活かしたという具体的な事例を、検食簿や別紙に記録しておくとなおよいですね。
参考資料:
・東京都保健福祉局 http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/
・厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/index.html
・文部科学省 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/07/08071616/001/010.htm
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