検食の基本的な知識について解説するシリーズです。
前回はこちら。
『検食と検食簿に求められるものとは』
今回は原材料や調理済み食材の検食についてです。
検食を取る意味
検食は食中毒が起きたときに原因を突き止めるためのものです。原材料そのものに問題があったのか、調理中に混入したのかなどを判断するためにおこないます。食中毒が起きた場合は検食を速やかに保健所に提出しなければなりません。すぐに検食を取り出せるよう検食用冷凍庫は整理整頓しておきます。また、冷凍庫がマイナス20℃以下に保たれているか、温度を日々確認することも大切です。
詳しく解説していきましょう。
大量調理施設衛生管理マニュアルの『検食の保存』とは?
最初に、大量調理施設衛生管理マニュアルに『検食の保存』とあります。これは保存食のことであり、配膳前に食べる「検食」と漢字は同じですが、内容は異なりますのでご注意ください。
大量調理施設衛生管理マニュアルに記載されている検食の保存とは、原材料と調理済みの食材を50gずつとり、マイナス20℃以下で2週間保管するというものです。保存する際には日付と1日のうちのいつの食事の検食なのかがわかるようにしておきましょう。
記載例:「〇月〇日朝食」
原材料の検食の取り方
泥がついている野菜は洗浄せずに可食部を50g取ります。皮やへたなどではなく、可食する部分を取るようにします。卵も殺菌や洗浄をする前に、殻付きのまま1個取ります。肉や魚なども同じように取りましょう。乾燥わかめや乾燥ひじき、ごまなどの乾燥しているものについても、50g取ることが原則です。ただ50gも検食で取ると、実際に使用する分がなくなってしまうこともあります。ごまなど1袋に相当することもありますよね。私が以前老人ホームで栄養士をしていた時、管轄の保健所に相談したところ、乾物に関しては別の指示をいただいたこともあります。不明な点がある場合は管轄の保健所に相談してみることをおすすめします。
調理済み食品の検食の取り方
提供しているメニュー、すべて50g取ります。温冷台車で配膳されている場合は冷たいメニューは台車の冷蔵に、暖かいものは台車の温エリアに入れておき、配膳する前に取り出し検食として取ることが望ましいです。提供するものとできるだけ同じ温度管理したものを取ります。おやつも同様です。
イベント食での検食
厨房を介さないイベントでの食事やおやつなどの場合の検食です。厨房を介さない場合も施設の責任者や栄養士、厨房職員が責任をもって、原材料、調理済みの食材を取るように伝えましょう。取った検食は日付やイベント食などの旨を記載し、厨房の保存食用冷凍庫で保管します。
検食は自分側の身を守るためのものでもありますので、漏れのないように検食を取るよう厨房職員に徹底してもらいようにしましょう。このような作業が衛生に関する意識を高め安心安全な食事の提供につながります。
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