令和3年4月1日より学校給食実施基準が約2年半ぶりに改正されました。学校給食実施基準とは、文部科学省が策定した児童生徒1人における給食1回当たりの学校給食摂取基準のことをいいます。これは児童または生徒の健康の増進および食育の推進を図るために望ましい栄養量を算出したものです。
学校給食栄養管理者はこれを踏まえた献立作成を行い、定められた栄養量を適切に設定することが必要です。
学校給食摂取基準の概要
学校給食摂取基準は、厚生労働省が作成した「日本人の食事摂取基準」の考え方を踏まえ、食事状況調査の調査結果により算出されました。小学3年生、5年生、中学2年生が学校給食において摂取することが期待される栄養量、すなわち昼食の必要摂取量を勘定し、児童生徒の健康の増進および食育の推進を図るために望ましい栄養量を算出したものです。
今回改正された項目について
今回の改正で大きく変更となった基準値は「ナトリウム(食塩相当量)」で、6~7歳が2g未満→1.5g未満、10~11歳が2.5g未満→2g未満に減りました。
「ビタミンC」は、8~9歳が20mg→25mg、10~11歳が25mg→30mg、12~14歳が30mg→35mgと増えました。
その他、鉄、ビタミンA、食物繊維も増減がありました。
この摂取基準は、全国的な平均値を示したもので、適用に当たっては、個々の健康および生活活動等の実態並びに地域の実情等に十分配慮し、弾力的に運用することと示されています。
その他追加事項について
学校給食摂取基準に併せて追加された取り組みとして、以下の内容があります。
・学校給食に地場産物を使用し、食に関する指導の「生きた教材」として使用することが、児童生徒が食に関する感謝の念を育む上で重要であるとともに、地産地消の積極的な使用に努め農林漁業体験地場産物に係る食に関する指導に資するよう配慮すること。
・我が国の伝統文化を学び食文化の継承につながるよう郷土料理を積極的に取り入れ、世界の多様な食文化等の理解も深めることが出来るよう配慮すること。
・給食の時間について、準備から片付けまで計画的・継続的に指導することが重要であり、そのための必要となる適切な給食時間を確保すること。
改正点のポイント
今回大きく数値が改正されたナトリウム(食塩相当量)ですが、年々摂取過剰傾向がみられています。学校給食における対応のみでは限界もあるので家庭への情報発信を行うことにより、児童生徒の食生活全体の改善を促すことが大切です。
また、地場産物に関わる食の指導、食の伝統文化、世界の多様な食文化を学べるような「生きた教材」として献立の工夫や、教科等の食育の充実、給食指導においても幅広い指導を行うことが重要です。
参考文献
・文部科学省:「学校給食実施基準の一部改正について」
https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1407704.htm
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