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梅雨の時期は脾(消化器系統)が傷みやすい

梅雨は五行学説でいう「土」の季節です。土には「受容する」「変化させる」「生成する」といった性質があります。まずは土の繋がりを見てみましょう。

土―長夏(梅雨)―黄―甘―脾(消化器系統)―胃―口―肉―思―湿など・・・

これらの繋がりから「梅雨は湿気で消化器が傷みやすい。消化器が傷むと体内に入った湿気を追い出すパワーが弱って體(からだ)がむくんだり、口内炎ができる。脾が傷むと思い悩みやすくなり、また、思い悩んでばかりいると脾を傷める」と読み取れます。

心がけたいのは「ぬるい生活」

「冷たい物は冷たく、熱い物は熱々で」というメリハリのある日本のサービスは、実は脾にとってはとても厳しい環境です。雨で服が濡れたままの状態でクーラーの効いた室内で冷たいドリンクや生ものなどをいただいたりすることはありませんか。こういう行動をすると、冷えと湿気が同時に体内に入り、夏風邪やだるさ、下痢、頭痛、食欲不振、古傷の痛みやしびれなどの様々な症状の原因となります。
まずは、「ぬるい生活」を取り入れ、冷た過ぎるものや熱過ぎるものを避けることから始めてください。また、湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなるため、体内に熱がこもりやすくなります。湿度には十分に気を付け、汗もこまめに拭くように心がけましょう。

梅雨の時期に摂りたい食べ物

梅雨の時期に摂りたい食べ物は、體から湿気を取ってくれる食材です。そういった食材には、冬瓜やスイカなどの瓜類、大豆やコーヒーなどの豆類、唐辛子やシナモンなどのスパイス類、ヨクイニンやブクリョウといった生薬類が挙げられます。スパイス類は湿気を取る作用もありますが、體を温める作用も併せ持ちます。體を温めるスパイス類は、暑い夏は摂りすぎに注意しましょう。また、殺菌作用にすぐれ、食欲の改善や風邪予防、腸内環境改善など、たくさんの素晴らしい効能を持つ日本の伝統食「梅干し」もこの時期、お勧めです。温かい番茶に入れていただくと、酸味と塩味がやわらぎ、體が温まります。
太陽の光が少ない季節は、気持ちもふさぎがちになります。食事に気を付けるとともに、好きな入浴剤やアロマ、ハーブティーなどを活用したり、リラックスの時間を確保することも忘れないようにして過ごしましょう。

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みんなのコメント( 6

    • 大倉 あやこ
      2713日前

      >賀茂様
      コメントありがとうございます。
      次回のコラムは真夏の薬膳について書かせていただきます!
      楽しみにお待ちくださいませ。

    • ID: 313
      2717日前

      梅雨入りしたはずなのに、雨が降らないですね。どんどん暑くなっているので夏バテしない薬膳情報が欲しいです。

    • 大倉 あやこ
      2718日前

      田中様 是非試してみてくださいね。
      私は梅干をお湯に溶いて飲むだけ、という時もありますよ^^

    • ID: 75
      2718日前

      大倉さま、3年熟成させた番茶なんてあるんですね。
      新茶がまだまだ残ってますが、3年番茶、試してみます。

    • 大倉 あやこ
      2720日前

      田中様、コメントありがとうございます。
      できれば3年熟成させた番茶がおすすめですが、なければ普通の番茶でも十分です。

    • ID: 75
      2720日前

      温かい番茶に梅干し、試してみます!

WRITER

大倉 あやこ

中医学の本場中国、上海中医薬大学にて中医内科を専攻した後、現地の国立病院で糖尿病の外来の営養指導や現地在住の日本人に薬膳をレクチャー、ハーブティーブレンド開発・店舗経営などを経て、2014年に日本に帰国しました。 中医・薬膳の先生と聞くと少し別世界の人のように思われがちですが、厳しい事や細かい事はとても苦手な、美味しい物が大好きな酒のみ栄養士です。 「食」は「人を良くする」ものです。 研修医時代、「この人は食をきちんとしていたら病院に来なくても良かったのに」というような患者さんを沢山診てきた経験から、「病院に行かなくてすむ人を増やしたい」「病氣になっても回復が早まるように」と願い、【食医】」の道を選びました。 ぬる~い私でもできる薬膳ですから、きっと皆さまも楽しんで実践していけると信じて、誰よりも楽しんで活動・情報発信していきたいと思います。 薬膳を通じて沢山の人とご縁できる事を楽しみにしております。

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