スポーツ栄養を専門に活躍中の管理栄養士の山崎さんに、管理栄養士になったきっかけ、現在の活動や今後の展望などについて、お話をうかがいました。
もともとは興味がなかった栄養士
高校生の時、母から栄養士の道を勧められたのですが、全く興味がなく、大学に進学しました。大学時代は、家業の材木卸売業が東南アジアから材木の輸入をしていたこともあり、森林伐採による地球温暖化に対して関心がありました。ボランティアで植林活動に参加して身近な環境問題に取り組もうと、自らの生活を見直し実践するなどしていました。卒業後は都内の建設会社に入社したのですが、入社半年で父親が事故で入院したため、看病に専念しようと退職しました。その後、結婚。パートタイムや派遣社員で一般事務として勤務していました。この時に体型維持を目的にスポーツジムに入会し、マラソンサークルに参加しました。
マラソンで気付いた栄養の大切さ
ホノルルマラソンを目指してトレーニングを始めたのですが、故障や体調不良が多く結果が出ない中、アロマトリートメントに出会い、アロマテラピーインストラクターの資格を取得しました。マラソンは、トレーニングで山を走った事が楽しく感じてトレイルランニングに転向。楽しみながらレースに参戦していました。そして、故障や体調不良の要因が、トレーニングに対して適切な食事ができていないことにあると気付き、正しい栄養の知識を身に付けたいと考えて、栄養士を目指すことに決め、東京農業大学短期大学部に進学しました。
女子アスリートのパフォーマンスアップの啓発活動をしたい
卒論では、自らを被験者とし、「トレイルランニングにおける持久力向上のための栄養摂取とトレーニングについて」の研究をしました。農大卒業後は、北区の中学校の非常勤栄養士として勤務。3年の実務を経験後、管理栄養士国家試験に合格しました。
その後、憧れだったフランスで開催される100kmのトレイルランニングのレースを完走することができました。その時、働きながらのレース完走には、健康を維持した上でのパフォーマンスアップが重要だと実感しました。改めて食事の大切さや、そのノウハウを伝えることの大切さを感じました。特に女子アスリートのパフォーマンスアップと健康維持には注意が必要で、今後栄養士として女性アスリートや指導者への啓発活動が課題だと考えています。
現在は、大田区の小学校の非常勤栄養士として勤務するかたわら、活動の幅を広げるため、小学生・中学生対象のスポーツ栄養講座や、地域新聞のコラム連載、高齢者向けの栄養講座などを行なっています。
本当の意味での管理栄養士・栄養士になるために
資格を持っていればもちろん栄養士としての業務に従事できますが、本当の意味での管理栄養士・栄養士になるためには、現場で経験を積み重ねることが大切だと感じています。学校の栄養士だけでなくいろいろな活動をしているので、資格と経験が役に立っていると感じています。
栄養士の仕事は、全ての人の毎日の生活の中にあるので、人のためになる誇りに思える仕事だと思います。自分自身まだまだスキルアップが必要だと感じており、日本栄養士会、日本スポーツ栄養学会といった学会に所属し、スポーツ栄養ベーシックコース講習会といったセミナーに積極的に参加したり、AEAJアロマテラピーインストラクターの資格を取得したりしています。現在は新たに公認スポーツ栄養士の取得を目指して勉強中です。
最後に一言
管理栄養士・栄養士を、もっと評価してもらえるように、高い水準を維持する必要があると感じる一方で、女性が多いので、キャリア形成が難しく働き方に選択肢が必要だと感じます。栄養士は使命感を持って取り組める職業なので、自ら学び、高い意識を持って、管理栄養士・栄養士同士で高め合いましょう。