イスラム教には細かな決まり事、ハラール(宗教上認められている)とハラーム(宗教上禁止されている)があります。
イスラム教徒は宗教が生活の土台です。食事についても、ハラールとハラームを守りながら過ごしています。
今回は、食事のハラールについてお伝えします。
ハラールフードとは
一般的に“ハラールフード”と呼ばれるものは、宗教上食べて良いとされる食材を指します。
【ハラールフード】
・ハラール認証ミートと呼ばれる肉類
・ハラール認証加工食品、調味料類
・穀物、野菜、果物
・鶏卵
・乳製品
・魚介類
ハラール認証とは、宗教上適切な設備・工程で製造される食品です。ハラール認証を受けた食品には、認証マークが付けられて流通されます。
イスラム教徒が海外旅行をした場合でも、ハラール認証マークが付いた食材・レストランであれば、彼らは安心して食事をすることができます。
ハラール認証ミート
イスラム教徒が食べる肉類(豚肉以外)は、宗教的に屠殺されたものです。死肉は禁じられており、屠殺時に生きていることが条件です。屠殺方法は、電気ショックや打撃ではなく、鋭利な刃物を用いることとされています。
屠殺する者は、その資格を有するムスリムおよび啓展の民と呼ばれるイスラム教国に居住を許された他教徒です。
屠殺する個体をイスラム教聖地メッカの方向に向け、屠殺者は「アッラー(イスラム教の唯一神)は偉大なり」と唱えます。そして、安楽死できるよう頸動脈に刃物を向け屠殺します。
血液がハラームなため、屠殺後は個体から血液が抜け切るのを待ちます。
その後、宗教上適切な設備・器具を用いて加工され、流通されていく肉類を、ハラール認証ミートと呼んでいます。
食材選びの注意点
イスラム教徒向けに食事を提供する際、大切なのは食材から調味料まで何を使っているのか確認し、開示できることです。
加工食品・調味料
イスラム教徒が食べる食事は、必ずしもハラール認証マークが付けられたものである必要はありません。私たちが日常的に食べる加工食品・調味料であっても、ハラームな食材を使用していなければ、イスラム教徒も食べることができます。
アルコール
“アルコール”と聞くと思い浮かぶのは、ビール・ワイン・醸造酒といった、飲料としてのアルコールです。しかし、イスラム教徒は調味料に添加されるアルコールや酒精、アルコール由来の調味料といったものも避けます。そのため、※醤油・酢・味噌・ドレッシング類などは、特に注意が必要です。
※ハラール認証調味料として、日本のメーカーでもこれらの調味料が製造されています。
ハラールは単なる好き嫌いではありません
イスラム教徒の人口は、年々増加傾向にあります。
宗教が生活の土台である彼らが過ごしやすくなるように、ハラール認証という制度ができました。
イスラム教徒にとってハラームな食材を口にすることは、神に背く罪となります。彼らに食事を提供する時、「(宗教的に)食べてはいけないものがある」という状態を自分に置き換えて考えると、丁寧に考えてあげることができるのではないでしょうか。
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