ようやく日々の業務に慣れてきた頃、突然、行政から指導監査の通知が来ることがあります。「何を準備すればいいの?」という声が多く聞かれますが、慌てなくても大丈夫! 施設側で準備しておくべきことや作成する書類についてお伝えします。
業務に関する書類の準備
指導監査では、日頃から業務でつけられている栄養管理・給食管理の書類や衛生管理に関する書類などを確認します。また、記載内容について細かくヒアリングを行い、現場へ立ち入り、調理員など現場の職員に状況をお尋ねすることもあります。
施設の栄養士は、ただ書類を準備するだけでなく、「なぜこの書類をつけているのか、何のためにこの業務を行っているのか」といった、日々の業務内容の根拠にも目を向け、正しく状況を把握し、聞かれたときに説明できるようにしておきましょう。
作成する書類について
施設の種類や規模によって業務内容が違うため、必要書類もそれぞれの施設分類ごとに違います。自治体によっては、確認する書類の様式等が定められている場合もあるので、不明な場合は管轄の行政担当窓口にお問い合わせください。
日頃から、業務に関する書類を整備しておき、新たに書類を作成する必要がないように効率的に準備しておくと慌てずに済みますね。当日までに、書類に不備がないかを確認し、それらを月ごとや年度ごとにまとめておきます。書類の提示を求められたら、すぐに出せるようにしておきましょう。
施設の状況を広く知っておこう
施設の栄養士は、施設運営に携わる一員として栄養面だけでなく、施設の組織体制や運営方針など、施設の状況を広く知っておくことが大切です。
例えば、施設の組織図を見ると、栄養業務が施設の中でどこに位置付けられているのかがわかります。さらに、施設経営の視点から見ると、施設によっては、給食の良し悪しが施設選択の一つに挙げられる場合もあるようです。施設でのさまざまな提供サービスの一つとして、給食はとても重要な役割を担っていることを認識しておく必要があります。
施設の給食委託契約書を確認しよう
委託会社が入っている施設では、業務に携わる管理栄養士や栄養士は、できる限り実地指導に同席されるのがよいかと思います。
また、施設の栄養士の中には、給食の委託契約書の文面を隅々まで確認していない方もおられます。自分の業務に関係する書類には、必ず目を通し、必要に応じてコピーを手元に保管するなどして、いつでも確認できるようにしておくとよいでしょう。委託先とのトラブルや困った事例があったときに、委託契約書に基づく根拠を提示することで、円滑に対処できることもあります。
現場の栄養士さんへの期待を込めて
書類や厨房内の確認を行い、施設の状況をヒアリングしたうえで、施設長同席のもと、総括的な講評を行います。行政の立場から、根拠となる法律や国のマニュアル等に基づき、気づいたことや感じたことをお伝えします。時には、厳しいことをお伝えすることもあるかもしれませんが、決して現在の業務内容を全否定するものではなく、施設の栄養士への期待を込めたエールとして受け取ってほしいと思います。
次回、実地指導に行った際には、前回の指導内容を踏まえてどのように改善されているかを確認することもあります。改善すべき項目が複数ある場合は、優先順位をつけて、できるところから取り組んでいくとよいでしょう。
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