COLUMN

前編から続きます。

授乳・離乳の支援ガイドに沿った離乳食の進め方

今回の改訂では、2007年には付表として書いてあった「歯や口腔内の発達」が1つの表にまとまりました。

(出典:授乳・離乳の支援ガイド2019年改訂版 離乳の進め方の目安)

保護者の不安によく見られるのが、月齢を目安とし過ぎ、他の児の離乳の進みと比べて、不安を感じるケースです。表としてまとまったことによって、個人差が出やすい乳歯の萌出や口腔機能の発達を促す試み(前からお口が動く姿を見せるといったアドバイス)がうまくできそうです。
また、以前のガイドまでは記載されていた調理形態の目安と言える「ヨーグルト、ポタージュ状、豆腐の固さ、バナナの固さ、肉だんごの固さ」という表記がなくなりました。個人的にはわかりやすい表現なので、必要に応じて伝えていきたいと思っています。

鉄・ビタミンDの積極的な摂取を

(4)の食品の種類と調理の項においては、

「母乳育児の場合、生後6カ月の時点でヘモグロビン濃度が低く、鉄欠乏を生じやすいとの報告がある。 また、ビタミンD欠乏の指摘もあることから、母乳育児を行っている場合は、適切な時期に離乳を開始し、徹夜ビタミンDの供給源となる食品を積極的に摂取するなと、進行を踏まえてそれらの食品を意識的に取り入れることが重要である。」

と記載されました。
また、鉄分摂取についての指導は、今までは生後9カ月からとされていましたが、生後6カ月頃から月齢が引き下がりました。6カ月頃から食べられる食材となると、まだ選択肢は少ないように思われますが、レバーやあさり(水煮缶が使いやすいかもしれません)大豆製品などを少しずつ試すことも、離乳の進行が順調ならいいかもしれません。ほうれん草なども鉄を含みますが、吸収率が低いため、ビタミンCを含む食物と一緒に与えるなどして吸収率をより高める調理方法などにするのがいいでしょう。

また、ビタミンDは、欠乏症としてくる病の増加が指摘されています。必要以上の日焼け止め塗布に気を付ける他、ビタミンDが多い食品である干し椎茸の粉末や、しらすなどの活用もよいでしょう。鉄・ビタミンDの摂取の食品として、共に育児用ミルクは活用がしやすいです。母乳育児の方でもまずは商品サンプルなどを活用して調理に活かしてみるのもいいですね。

ガイドの理解=「母親の気持ちや感情を受けとめ寄り添い」を重視すること

前編の最初に申し上げたように、前ガイドより約10年が経過した今、子育てをする環境・社会は大きく変化しました。授乳・離乳の支援というタイトルの通り、記載されている内容は単に子どもの成長のための基準だけではなく、育児支援の視点を重視した内容でさることをあらためて認識した上で、活用すべきだと感じます。また離乳という言葉の正しい理解も伝えるべきでしょう。 一般的には「離乳食」という言葉でやりとりしますが、「離乳」という言葉を使うことによって、乳汁栄養をやめるという理解にならない支援が今後求められます。


参考文献
厚生労働省「離乳・授乳の支援ガイド」https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf
※1 授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)の概要より
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496256.pdf
※2 厚生労働省「平成 27 年乳幼児栄養調査」(2016)

 

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
      1599日前

      Eatreat編集部です。先程のコラムに続き、離乳食の最新情報の徹底解説の後編です。

WRITER

隅 弘子

mamaful代表 一般社団法人日本こども成育協会食専科ディレクター 保育士養成専門学校講師 mama とこどもの愛着形成を食を通じて深めたい! こどもがすくすく育つためにサポートできる栄養士を増やしたい! 気力・体力・忍耐力がモノをいう育児生活。 一組でも多くの親子が「育児が苦しい」から「やっぱり育児は楽しい!」と育児生活を考えてほしいとフリーランス管理栄養士としてmamaful(ママの想いがいっぱいあふれる)と屋号を決め、自らの体験などを活かして活動を始める。親子カフェや市町村主催の食育講座、幼児食講座は人気講座として多くのママの悩みを解決している。また同じ想いをもつ人材の育成にも携わっており、専門家育成にも力を入れている。 ******************* こんにちは。管理栄養士の隅弘子です。 子育てはただ楽しい日々の連続ではありません。 日々成長を感じつつも、 悩みながら、 迷いながら 子育てに励まれていることでしょう。 時には 自分を犠牲にしてでもなんとかしなくては! と頑張り過ぎていることはありませんか?  「子どものために」と一生懸命になることはもちろん愛情を注ぐ上で大切です。ですが、そればかり優先してしまうとお母さんの体力気力が持ちません。 お母さんの笑顔をうみだすためにはお母さん自体の食事、また食の考え方を 整えることも実は大切です。離乳食や幼児食は、食べられる食材の知識や味付けなど工夫が必要な食事と思われていますが、家族一緒に食べられるような食事ってなんだろう?と考えることも実は大切です。 「食べる」ということはじつはとてもシンプルなことであり、 楽しみを感じること。 料理が苦手な人だって大丈夫! 私自体が料理が苦手です^^; 毎日のことだからこそ、実践できることを優先し楽しみながら家族にげんき溢れる食のおけいこを仕事を通して伝えられる栄養士でありたいと思っています。 現在は子育て支援施設内にある食事相談業務のほか、子どもの育ち・成長発達に見合ったアドバイスができる人材の養成を目的とした一般社団法人日本こども成育協会にて食専科ディレクターとしても栄養士の視点を交えながら活動しています。 ■乳幼児向け 都内子育て支援施設内食事相談/ミニセミナー開催(2013.4~) 幼稚園食育イベント監修、楽天レシピお手伝いレシピコンテスト審査員(2014) 市川シャポーさまこども食育イベント実施および料理監修(2015) 千代田区家庭教育学級、神奈川県大和市生涯学習講座にて 「3色食品群を味方につける」講座企画運営(2016) ミキハウス×ベビーカレンダー プレパパ・プレママセミナー2017 神奈川県大和市生涯学習講座「絵本の世界 絵本のなかの料理をつくろう」(2018.3) ■講座講師活動 大戸屋食育セミナー講師/大戸屋社員向け食育研修講師(2010~) ブレインフード協会 ブレインフード講座(2015~) 機能性食品講座(2015~) 味覚カウンセラー協会 味覚カウンセラー講座(2015) 一般社団法人日本こども成育協会 こども成育インストラクター(2017~) 一般社団法人母子栄養協会 学童食アドバイザー(2017) 一般社団法人母子栄養協会 幼児食アドバイザー(2017) 一般社団法人母子栄養協会 妊産婦食アドバイザー(2017) 保有資格 管理栄養士/母子栄養指導士(妊産婦アドバイザー、離乳食アドバイザー、幼児食アドバイザー、学童食アドバイザー)/こども成育インストラクター/健康食育シニアマスター 他

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