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- 病気(症例別)と栄養
- 2021.08.23
子どもを取り巻く環境の変化
小児生活習慣病に関する連載の第2回目です。前回のコラムはこちら。
文部科学省や厚生労働省などのさまざまな機関では、子どもの生活に関する研究がされています。今回は小児生活習慣病の要因と考えられる生活習慣について、食事・運動・睡眠に分けてまとめました。
小児肥満と小児生活習慣病の関係
小児肥満は、小児期にさまざまな健康障害があらわれやすくなるだけでなく、成人期の肥満に移行しやすい、2型糖尿病・脂質異常症・高血圧などの生活習慣病の発症リスクが高まりやすいという問題点があります。
「アディポシティリバウンド(AR)」は体組成を構成する体脂肪あるいは体脂肪率の変化を反映し、乳児期に増加した体脂肪が幼児期前半にかけていったん減少し、再び幼児期後半から成人期に向けて脂肪蓄積が始まることを示す現象とされています。小児肥満は乳児期、幼児期、学童期および思春期のいずれの時期からも始まりますが、ARが早いほど将来肥満になりやすく、2 型糖尿病や心筋梗塞などの生活習慣病を発症するリスクが高くなることが明らかにされています。
小児生活習慣病と関連する生活習慣における課題 食事編
子どもの肥満のほとんどは「原発性肥満(単純性肥満)」といい、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っているために生じるものです。食生活をはじめとする生活習慣の大きな変化が主因となっています。
小児肥満の食事の特徴は、1 回の使用食品の数が少なく、単品献立が多い傾向です。非肥満群と比較すると肥満群の品数は、朝食、昼食で少なく、夕食と間食に多い傾向があります。また、食物繊維量は肥満度が高くなるほど減少し、高度肥満群の塩分量は高いという結果があります 。
国民健康・栄養調査によると、平成の初め頃は魚介類の摂取量が多かったが、平成19年以降は,肉食が魚食を逆転しており、その後減少の一途をたどっています。また、子どもがエネルギーの多くを脂肪から摂る傾向が顕著になっています。
小児生活習慣病と関連する生活習慣における課題 運動編
世界共通の肥満発症要因として、長すぎるスクリーンタイムに代表される座りがちな生活習慣や睡眠不足が挙げられています。
また、子どもにおける体力・運動能力の低下は、生活習慣病の危険因子と相関が示されています。運動習慣がなくても内臓脂肪蓄積がない子どもも多くいますが、内臓脂肪蓄積がある子どものほとんどに運動習慣がないことが示されています。
公園でのボール遊び禁止や、不審者がいて安全に遊ばせられないなどの理由から、子ども同士でのびのびと遊べる空間が身近にないため、十分な身体活動や運動の楽しさを子ども時代に知ることができなくなっていることも要因の一つと考えられています。親世代と比較すると、運動やスポーツを行う子どもの割合が顕著に減少しています。
小児生活習慣病と関連する生活習慣における課題 睡眠編
財団法人日本小児保健協会が実施した調査や厚生労働省による21世紀出生児縦断調査によると、親のライフスタイルなどによって夜型化した社会環境の変化は、子どもの生活にも影響を与え、睡眠時間の減少につながっていると考えられています。
睡眠不足は、成長の遅れや食欲不振・注意や集中力の低下・眠気・易疲労感などをもたらします。子どもの場合、眠気をうまく意識することができずに、イライラ・多動・衝動行為などとしてみられることも少なくありません。また睡眠不足は将来の肥満の危険因子になることも示されています。子どもの睡眠不足や睡眠障害が持続すると、肥満や生活習慣病、うつ病などの発症率を高めたり症状を増悪させたりする危険性があります。
参考文献
・国立病院機構鹿児島医療センター (厚生労働科学研究班)吉永正夫
「未成年者、特に幼児、小・中学生の糖尿病等の生活習慣病予防のための総合検診のあり方に関する研究」
https://kagomc.hosp.go.jp/wp-content/uploads/2015/02/metabo-setsumei.pdf
https://kagomc.hosp.go.jp/wp-content/uploads/2015/02/metabo-postar.pdf
(閲覧日:2021年6月13日)
・文部科学省 「子どもの生活の現状」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/katei/08060902/002.pdf
(閲覧日:2021年6月13日)
・日本大学医学部 岡田知雄 「子どもの生活習慣病」
https://www.jschild.med-all.net/Contents/private/cx3child/2014/007302/003/0166-0170.pdf
(閲覧日:2021年6月13日)
・日本小児科学会 「幼児肥満ガイド」
http://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=110
(閲覧日:2021年6月16日)
・Eヘルスネット「子どもの睡眠」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-007.html
(閲覧日:2021年6月16日)
・Eヘルスネット「睡眠不足や睡眠障害、子どもへの大きな影響」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-003.html
(閲覧日:2021年6月20日)
関連コラム
・小児生活習慣病について
・外出自粛中の食事の工夫 ④糖尿病編
・File15:フリーランスで働く管理栄養士 鈴木菜美さん
みんなのコメント( 1 )
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- Eatreat 編集部
- 1198日前
小児生活習慣病のシリーズ第二作目です。今回は、小児生活習慣病の要因と考えられる生活習慣について、食事・運動・睡眠に分けて鈴木菜美さんにまとめていただいております。
"小児生活習慣病"のバックナンバー
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WRITER
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鈴木 菜美
●糖尿病療養指導士 糖尿病専門クリニックにて一年間で1000人以上の食事相談を受けた経験あり。 患者個々の気持ちに寄り添って行動することで、患者の不安解消、数値改善に貢献することができた。現在もその経験を活かして別の糖尿病専門クリニックにて、勤務。 ●「人と食と笑顔をつむぐ おやつ教室 tsumugi」主宰 だれもが食を学ぶことができたり、食事療法の不安を減らすための場所を作り、一人一人の希望に応えたいという想いから、愛知県の自宅にて、【低糖質のおやつ】【食物繊維が豊富なおやつ】【低カロリー満足おやつ】をテーマにして、簡単に作ることができるおやつを伝えている。今後は料理も伝えていく予定。 ●認知症予防レシピの提供 2017年3月より、株式会社エストコーポレーション様発行 『自宅に届く 脳とれドリル 脳レク』 に認知症予防をテーマにして考えたレシピを連載中。 毎月、認知症予防に有効とされている食材を一つ取り上げて、その食材を使ったレシピを2つ紹介している。 ●その他資格 日本糖尿病療養指導士 ホームヘルパー 医療事務 野菜ソムリエ
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