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引き続き、COPDの原因と症状についてお話しします。
前回はこちら。『COPD(慢性閉塞性肺疾患)予防のための食事①』

COPDの原因と症状

COPDは喫煙歴のある高齢者に多いのが特徴です。
別名『タバコ病』と呼ばれるように、喫煙が最大のリスクとなっています。
高齢者が多い背景には、現在の高齢者は喫煙歴がある方が多いことに加え、長い期間、吸い続けてきたからと考えられています。ぜんそくとCOPDを合併している高齢者も多く、よって、死亡リスクも高まるといわれています。

また、1人の方が、COPDとぜんそくを同時に抱えている状態を『オーバーラップ症候群』といいます。
やはり高齢者に多く見られます。この症候群が見落とされて、ぜんそく、あるいはCOPDとだけ診断されているケースも少なくないとされています。

COPDの早期の場合は、肥満気味でメタボリック症候群の方が多いのですが、進行してくると体重減少が大きくなります。
それは、呼吸が苦しくて身体を動かさなくなる→動かないからお腹が空かない→食事量が減るので、筋力も体力も落ちてくる→ますます身体を動かさなくなる…という悪循環になるからです。
逆に、高度な肥満の場合は、呼吸にあわせた胸膜の動きの効率が悪くなり、内臓脂肪が横隔膜を押し上げるため、肺の動きの効率を低下させます。
また、運動不足や、栄養過多、逆に栄養不足によっても症状が悪化すると言われています。

COPDを予防するために

COPDで一度失われた肺の機能は、残念ながら元には戻りませんが、2006年、WHOはCOPDを『予防ができ、治療ができる病気』と定義しています。早い段階での予防や治療が、進行や悪化を防ぐことができるということなのです。
生活の中で、ひとりひとり予防できる事を考えてみましょう。

COPDという疾患を知らない方は、痰がからんだり、咳が出るといった症状であれば、風邪をひいたのかな、ちょっとのどの具合が悪いのかなと、見過ごすこともあるかもしれません。
長年の喫煙や、同居者の喫煙、職場で粉塵や有毒ガスを吸い込むことがあるなど、肺の炎症を引き起こすような環境にある場合は、注意が必要です。自分がタバコを吸わなくても、かかる可能性はあるということです。

COPDの方は、先進国では女性より男性の方が多いですが、発展途上国では料理用ストーブの蒸気や、まきなどの暖房器具による屋内の空気汚染が原因で、女性の方が高いという報告もあります。
換気の悪い住居内で、有機燃料を調理や暖房で使う地域では、リスクが高いということです。

COPD予防の食事のポイント

まずは、禁煙することが一番大切ですが、食事で気を付けるべき点は以下です。
・主食とおかずをバランスよく、しっかり食べる…好き嫌いなく、偏食をしない。
・良質のたんぱく質をとる…筋肉を維持するために魚・肉・大豆製品・卵・牛乳や乳製品をまんべんなく。
・体重のコントロールを…やせている方は、食事の回数を増やすなど、エネルギー不足にならないように。肥満の方は、食事量を調整しながら、毎日の体重をチェックしてみましょう。
・減塩を心がける…COPDは高血圧や動脈硬化など、循環器系の疾患も合併しやすくなります。

他の疾患で通院している場合は、主治医の指示に基づいてください。
通院していない方は、気になっている点があれば、健診時等に担当医に相談することをおすすめいたします。

食べるということは、栄養補給のためばかりではなく、人生の楽しみでもあります。食事のバランスがとれてくると、感染や疾患に強くなる身体を作ることができます。
予防のために、体力・筋力・抵抗力をつけていきましょうね。

参考文献
一般社団法人 日本呼吸器学会ホームページ  http://www.jrs.or.jp/
『ウルトラ図解ぜんそく─咳ぜんそくから重症ぜんそく、COPDまで─』 足立 満 法研 2015
『COPDの最新治療─慢性閉塞性肺疾患 タバコの生活習慣病─』 木田 厚瑞 主婦の友社 2013
『知られざる肺の病気COPD─イラスト版 せき・たん・息切れて悩む人に─』木田 厚瑞 講談社 2003
公益社団法人 日本栄養士会ホームページ http://www.dietitian.or.jp/

関連コラム
『脂質異常症の食事について① コレステロールと食事の注意点』
『糖尿病ってどんな病気?』
『高尿酸血症・痛風の食事療法』

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みんなのコメント( 1

    • ID: 324
      2313日前

      タバコとかもってのほかですよね

      拍手 0

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WRITER

COPD(慢性閉塞性肺疾患)予防のための食事②

小山 幸子

現在は病院、クリニックでの食事サポート、調理実習のほか、食コラムの執筆等。 『この食事が、人生で最後の食事かもしれない』を、モットーに業務に携わっている。 メカオンチのあがり症。 高校卒業後、会社員として8年間勤務後、26歳で栄養士養成校へ。 教員より年上の生徒だった経験を持つ異色の栄養士。 毎日書道会 会友 (雅号:小山 桃花)

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