連載している「こどもの食物アレルギー」についての第3回目です。今までのコラムはこちらをご覧ください。近年増加し続ける食物アレルギーの対策は、この20年余りで大きく進歩しました。今回は、未就学児が発症しやすいと言われる「卵(鶏卵)」「牛乳」「小麦」の代替食品についてまとめました。
「卵(鶏卵)」アレルギーの代替食品について
食物アレルギーを引き起こす原因食物で、割合が最も大きいのは卵(鶏卵)です。アレルギーにより卵を除去する場合は、たんぱく質が不足しやすいので、肉・魚・大豆製品・牛乳などを食事に取り入れて、たんぱく質を補いましょう。また、卵黄はビタミンDを多く含むため、卵を除去するとビタミンDも不足しがちになります。そのため、魚などのビタミンDを多く含む食品を食べる頻度も増やすようにすると良いでしょう。
卵は調理法が多様で、さまざまな料理によく使われていますが、卵の代わりに美味しく調理するためにおすすめの代替食品は、こちらになります。
・揚げ物や天ぷらの衣→小麦粉や片栗粉を水で溶かしたもの
・ハンバーグなどのつなぎ→片栗粉などのでんぷんや、すりおろしたれんこん
・ケーキの起泡性→重曹やベーキングパウダーなど
・プリンの熱凝固性→ゼラチンや寒天
・料理の彩り・色付け→かぼちゃやとうもろこし、パプリカ
また、卵は練り製品などの加工食品にも使われている場合が多いのですが、最近では卵不使用の加工食品も多く市販されてきていますので、原材料表示を確認されると良いと思います。
「牛乳」アレルギーの代替食品について
アレルギーにより牛乳を除去する場合は、慢性的なカルシウム不足に注意が必要です。豆乳は、牛乳の代替食品として重宝しますが、牛乳コップ1杯分(200ml)のカルシウム量が220mgであるのに対して、豆乳コップ1杯分(200ml)では30mgと大変少ないです。そのため、アレルギー用ミルクを料理に使用したり、小魚・納豆・生揚げ・小松菜・切り干し大根などのカルシウムを多く含む食品を積極的に食事に取り入れて、カルシウムを補うと良いでしょう。
また、料理に使う場合の代替食品は、こちらがおすすめです。
・シチューやグラタン(ホワイトルウ)→豆乳
・生クリーム→豆乳、ココナッツミルクなど
「小麦」アレルギーの代替食品について
小麦を除去する場合、主食を米中心にすると、栄養素の不足は生じにくいです。小麦はパンや麺、お菓子などに使われることが多いため、同じものを共食するうえでは、パンは米粉、麺類はビーフンや春雨などで代替すると良いでしょう。
料理に使う場合の代替食品は、こちらがおすすめです。
・ルウ→米粉や片栗粉、すりおろしたれんこんなど
・揚げ物の衣→片栗粉や米粉を水で溶かしたもの
・フライ→コーンフレークや砕いた春雨
米粉においては、グルテン(小麦タンパク質)が入っているものもあるので、使用する際には原材料表示を必ず確認しましょう。
まとめ
食物アレルギーを発症した場合でも、代替食品を上手に利用して、家族や友達と同じものが食べられるよう工夫し、楽しい食事の時間を過ごしてほしいですね。
保育園や学校などでは、安心・安全の提供が第一であり、コンタミネーションを防ぐためにもリスクを考えながら無理な対応はしないことが大切になります。
次回は、保育園や学校における食物アレルギーへの対応についてお伝えします。
参考文献
・厚生労働科学研究班による「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017」
・文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
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