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前回から連載している「こどもの食物アレルギー」についての第2回目です。前回のコラムはこちらをご覧ください。
近年増加し続ける食物アレルギーの対策は、この20年余りで大きく進歩しました。今回は、食物アレルギーの症状や食生活上の課題点についてをまとめました。

食物アレルギーの症状

食物アレルギーの症状は、食物を食べた時だけに起こると認識されている方もいますが、触れても、吸い込んでも、症状は現れます。
特定の食物に含まれるアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)に免疫機能が過剰に反応して、全身に以下のようなさまざまな症状が現れます。

アレルギー症状で、最も多いものは皮膚症状ですが、呼吸器症状、粘膜症状、消化器症状などの症状も同時または別々に現れることがあります。

また、食物アレルゲンの大部分は、食物に含まれるたんぱく質です。たんぱく質は、加熱や酸・酵素によって形が変形したり(変性)、消化酵素の働きでアミノ酸のつながりが切断される(消化)ことにより、アレルギー症状が出にくくなることがあります。

食物アレルギーが疑われる症状がみられた場合は、自己判断せずに必ず受診することが大切です。

乳幼児期に頻度の多い食物アレルギーのタイプ

食物アレルギーは、次の5つのタイプに分類されます。
 ①新生児・乳児消化管アレルギー
 ②食物アレルギーに関与する乳児アトピー性皮膚炎
 ③即時型症状
 ④食物依存性運動誘発アナフィラキシー
 ⑤口腔アレルギー症候群
特に乳幼児期に頻度の多い症状は、②食物アレルギーに関与する乳児アトピー性皮膚炎と③即時型症状になります。
これら2つについて、それぞれの特徴を説明していきます。

食物アレルギーに関与する乳児アトピー性皮膚炎

乳児アトピー性皮膚炎に合併して認められる食物アレルギーになります。
原因となる食物は、鶏卵、牛乳、小麦、大豆が大半になります。皮膚のバリア機能が低下したところに食物アレルゲンが侵入し発症するとも言われており、皮膚を清潔に保つこと(石鹸で洗う)と保湿によるスキンケアが重要と言われています。

出典:東京都福祉保健局 東京都アレルギー情報navi.「スキンケアについて正しく知りましょう」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/allergy/pdf/pri13.pdf


即時型症状

最も典型的な食物アレルギーのタイプです。原因食物を摂取した後、通常2時間以内にアレルギー症状が現れます。さまざまな症状が急速に現れ、生命の危機を与えるアナフィラキシーショック症状へ至る場合も少なくありません。

アナフィラキシーについては、東京都福祉保健局が運営している「東京都アレルギー情報navi.」にて、アナフィラキシー等のアレルギー症状への緊急時対応に備えて、対応の手順、役割分担、緊急性の判断と対応、エピペンの使い方、緊急要請(119番通報)のポイント等がフローチャート形式でまとめられています。
緊急時にそのまま使用できる症状チェックシートもついていますので、保育所・学校等で勤務されている方は、参考にされると良いと思います。

出典:東京都福祉保健局 「食物アレルギー緊急時対応マニュアル」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/allergy/pdf/pri06.pdf/


食生活上の課題

乳幼児期の食物アレルギーの原因となる食物は、鶏卵、牛乳、小麦の割合が多く、これらは乳幼児期に特に必要なエネルギー、たんぱく質、カルシウム、鉄、ビタミンDなどの栄養素を多く含みます。昔と違い、現在の食物アレルギーの治療は、食物除去は「必要最小限に」医師が判断する「食べられる範囲までは食べる」とされてはいますが、栄養素の不足への配慮が必要になってきます。代替食品を利用し、栄養素が不足しないように献立を立てることが課題となってきます。

まとめ

乳幼児期は、栄養面も大切ではありますが、食事の時間が楽しいと思ってもらえることが何よりも重要だと思います。共食することは、家族とコミュニケーションが図れるだけでなく、マナーや食文化、あいさつ、お箸の使い方、好き嫌いの克服などメリットがたくさんあります。その大切な時期に、家族や友達と共食ができる機会が減ってしまうのは残念でなりません。
家族や友達と同じものが食べられるよう代替食品を利用し、調理を工夫することで、食卓を囲み楽しい時間を過ごしてほしいと思います。

次回は、アレルゲンとなりやすい食材の代替食品についてお伝えします。

 

参考文献
・厚生労働科学研究班による「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017」
・監修:海老澤元宏 編集:今井孝成、高松伸枝、林典子、「食物アレルギーの栄養指導」、医歯薬出版株式会社(2018年8月1日)

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      21日前

      こどもの食物アレルギーのシリーズ第二回目です。今回は、食物アレルギーの症状や食生活上の課題点についてをイートリスタの川島さんが解説します。

      拍手 0

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WRITER

食物アレルギーの症状や食生活上の課題点

川島 美由紀

一児の母。大学卒業後、建設会社に勤務。医療系ベンチャー企業に転職し、全国約800の医療機関に食事指導支援サービスの提供や食事指導のプロを目指す栄養士のポータルサイトの企画開発・運営全般に携わる。その後、特定保健指導の委託会社に転職。今までに食事指導した延べ人数は、15000人以上。 現在は、ママだけが一人で頑張る世の中を変えたいという想いから、”お手伝い教育で子どもの「自信力」を育むエスキッチン”の企画開発・運営全般に携わりながら、パラレルキャリア管理栄養士として、個人としても活躍中。 【個人での主な仕事】 保健センターにて1歳半・3歳児の栄養相談、離乳食講座、親子クッキング教室、 地方自治体にて両立のための時短料理講座、お出かけ情報サイトいこーよにてコラム執筆、遺伝子検査×栄養サポートの開発・監修、ミス・グランドジャパン2018・2019の栄養サポート、飾り巻き寿司教室を定期開催など 【保有資格】 食物アレルギー管理栄養士 食物アレルギー栄養士(給食管理分野)

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