「台所から防災減災」に取り組む防災士の資格も持つ管理栄養士が、静岡県焼津市の小学校の取り組みについてご紹介します。
焼津市の小学生は、小学校に入学する際に救命胴衣を各自用意し椅子の背もたれにかけ、避難訓練や着衣水泳の体験をします。避難訓練では、合言葉の「おかしも」=おさない・かけない・しゃべらない・もどらないを厳守し、真剣に取り組んでいます。
地域で学ぶこども防災教室~避難所体験教室~
令和3年8月に実施した防災教室の様子をご紹介します。会場となった生涯学習センターの会議室を避難所に見立て、受付で体調をチェックし着席、教室のスタートです。
「避難所運営は皆さんの協力で成り立ちます。皆さんは炊き出し班として活動してもらいます」と声をかけます。ゴミ袋からエプロンを作り、調理室に移動。全員真剣な顔つきです。移動は、おさない・かけない・しゃべらない・もどらないを厳守します。調理室のホワイトボードには、避難者人数、献立、手順、生ごみの捨て方などを書き、各自の仕事を割り振ります。
子ども炊き出し班 作業開始
包装食袋で「白飯」と「ツナ缶カレー」を作ります。高学年児を中心にルールを決めます。
・一人で作業しにくい時は仲間と助け合う
・湯せん調理ではヤケドに注意
・包丁を持って移動しない
大人顔負けの避難所運営です。加熱調理時間を利用して栄養指導を行います。ご飯はエネルギー源、ツナはタンパク質、野菜はビタミンや食物繊維が豊富、作るカレーの栄養バランスはばっちりです。アレルギーっ子用には野菜カレーを作ります。
みんな責任感や達成感が自信につながっています。炊き出し班としての仕事は、調理後の配布や清掃も大切な作業です。白飯とカレーは熱々で、子ども達は配布することができません。そこで新聞紙を折り、小さな袋を作ります。包装食袋に入った白飯とカレーを入れました。子ども達からは、「これ、冬ならカイロになるよ」「割り箸を捨てる時に新聞紙に包めばゴミ袋が破れないよ」などのコメントがありました。
体験学習を通して、避難所運営は自分達の手で行うことを学びました。
今できること
平時の学童期の食事では、「三回の食事を中心に規則正しく、バランスよく」と指導していきますが、被災すると生活は一変します。野菜不足による口内炎や便秘、トイレを我慢して脱水傾向にもなります。災害を想定し、家族で一緒に備蓄品を用意することが大切です。在宅時間を利用して、防災備蓄品を見直してください。「もしもに備える」が、家族を守る一歩になります。
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