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前編はこちら >>歯科医療での管理栄養士の活躍の場 〜たかぎ歯科 手塚文栄さんの現場〜前編

さまざまな道具や方法を使った食事訓練

手塚さんは指導にあたって非常に多くのアイテムを使用します。指導には子どもたちの摂食の状態に応じた食べ物が必要となるため、お菓子を粉末状にしたものや、とろみの調整を行うための赤ちゃんせんべいの粉、そして手塚さん手作りの料理、煎り豆、海苔、ドライマンゴーなどいろいろなものが冷蔵庫に用意され使用されていました。摂食には数種類のスプーンを使い分け、口に入れる量を調節するだけでなく子どもたちが食べること自体に興味を持てるように工夫が凝らされていました。

また、アイテムだけでなく、摂食の要となる口を使った指導方法も印象的でした。スムーズにフォークやスプーンを口に運ぶための訓練として、手の甲や腕に子どもが好きなペーストやご飯粒などつけて、唇でとる遊びです。これによって唇の使い方が上手になるだけでなく、肩、肘、手首、指の関節の可動域を広げることにつながります。特に食べるのが難しいのは、すりつぶしと器用な舌の動きが必要な葉物野菜です。それを食べられるようにするため、まずは口の周りに付けたお菓子の粉を舌で舐めとらせることで、舌の動きをよくし、すりつぶしに必要な頬や顎を動かす筋肉の動かし方やきたえ方を学習します。そのすべてが経験に裏打ちされた有効なものでした。

今回の見学では3名の子どもたちへの指導の様子を見学させていただきました。年齢や摂食の学習段階も異なるため、当然その指導もすべて異なり、まさにオーダーメイドの指導です。たかぎ歯科は、院長の高木伸子先生が先頭に立って「患者さんの食支援」としての歯科診療や訪問診療を行っています。その一環として小児の摂食相談があります。管理栄養士は、歯科では栄養指導をしても診療点数にはなりません。しかし、高木院長は歯科医院にも栄養士は必要ということで、20年来雇用し、他のスタッフも手塚さんの活動を理解して協力しています。スタッフのチームワークのよさは来院される患者さんたちからの信頼にもつながっていました。

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食べることができるようにする管理栄養士の仕事

管理栄養士が、「食の専門家』であることはいうまでもありません。管理栄養士には、食べる人の健康状態やライフスタイルに応じた最適、最善の食事を提案、提供するスキルがあります。しかし今回の見学を通して実感したことは、そもそも「食べる」という行為に学習が必要な人もいるということです。食事は、それを口に運び、食べなくては意味がありません。さらにしっかり噛んで、味や香り、風味などを体験してこそ、健康につなげることができます。

「食べる」という行為の学習は栄養士の仕事ではないという考えもあるかもしれませんが、どうしたら食べることができるかその方法を知るということは、自ら考えた食事を通して食べるよろこびや大切さを患者さんに伝える重要な要素の1つではないでしょうか。

手塚文栄さん、ありがとうございました。

 

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