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近年、とりすぎが心配されているミネラルのひとつであるナトリウム。食塩として私たちは摂取していますが、どのような働きをする栄養素なのかご存知でしょうか?
今回は、ナトリウムが体内でどんな働きをしているのか、とりすぎや不足によりどのような影響があるのかについて解説します。

ナトリウムとはどんな栄養素?

ナトリウムは、主に細胞の外側に存在している陽イオン(Na+)で、多量ミネラルのひとつです。私たちは、ナトリウムが塩素と結合した食塩の形で摂取していることが多いため、食品中の含有量も食塩相当量として示されています。ナトリウムから食塩相当量を算出する場合は、ナトリウム(g)×2.54=食塩相当量(g)という式を用います。

体内ではどんな働きをする?

ナトリウムはカリウムとともに細胞の浸透圧を維持し、体液量の調整を行っています。また、酸・塩基平衡の調整や筋肉の弛緩作用、神経系の維持などの働きもあります。さらに、胆汁、膵液、腸液などの材料にもなっています。

どんな食品に多く含まれているか

ナトリウムはほとんどが食塩として摂取されているため、食塩が多いものに豊富に含まれています。特に調味料に多く、食塩はもちろん、しょうゆやみそ、コンソメなどの調味料にも含まれています。また、これらの調味料を使用して作られる塩蔵品や加工品にも多く含まれています。
また、主食の中でも麺やパンは調理過程で塩分が加えられています。さらに食べるときも麺であればスープやつゆ、パンであればバターなどに塩分が含まれているため、こうした料理は塩分過多になりやすいです。

 

過剰摂取や摂取不足による健康への弊害

日本人のナトリウム摂取量は、食塩として摂取していることがほとんどで、とりすぎによる生活習慣病との関連が注目されています。長期的に過剰摂取が続くと高血圧を引き起こし、動脈硬化につながり、冠動脈疾患に影響するといわれています。また、むくみや腎機能障害の原因になったり、胃がんのリスクが高まるという報告がされています。
一方、摂取不足になることはほとんどありませんが、大量に汗をかいたり、嘔吐や下痢などにより不足する場合があります。不足すると、血圧低下やけいれん、筋力低下などを起こすことがあります。

管理栄養士から伝授!ナトリウムを食事から上手にとるコツ!

ナトリウムはとりすぎを防ぐことが重要です。料理は薄味を意識すること、ドレッシングやソースなどの調味料を使う量に気をつけるとよいでしょう。薄味にすると食事が物足りなく感じてしまう場合は、だしでうま味で補ったり、お酢などの酸味で薄味をカバーし味にメリハリをつけるといいでしょう。
また、漬物や梅干しなどといった塩蔵品を食べる頻度を減らし、一度に食べる量も減らすことでナトリウムの摂取量を減らすことができます。ラーメンなど麺類の汁は全て飲み切らないようにするのもポイントです。

 

参考文献
・厚生労働省:「「日本人の食品摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html、(閲覧日:2022年4月27日)
・国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:ナトリウム、「健康食品」の安全性・有効性情報、https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail586.html、(閲覧日:2022年4月27日)
・吉田企世子・松田早苗:「正しい知識で健康をつくるあたらしい栄養学」、髙橋書店、(2021)

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
      783日前

      栄養素辞典の第12回目、「ナトリウム」についてです。

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WRITER

宮﨑 奈津季

女子栄養大学栄養学部実践栄養学科卒業。 介護食品メーカーで営業に従事した後、独立。 料理動画撮影やレシピ開発、商品開発、ダイエットアプリの監修、栄養価計算などの経験あり。 現在は、特定保健指導、記事執筆・監修をメインに活動中。 Chatwork、Slack、Zoom、Wordpressなどの使用経験あり。

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