医療や介護が必要な状態であっても、住み慣れた地域で最期まで自分らしい暮らしを実現できるように、在宅ではさまざまな専門職が連携した支援を行っています。
多職種のチームで支援します
在宅では、本人と家族がどのように生活したいかという目標を大切にし、チームで支援を行います。目標はもちろん、専門職ごとのアセスメント、今後の見通し、支援方針などの情報を共有することで、それぞれの専門性を発揮した上でのチームでの支援につながります。
職種の違い、医療・介護の視点の違いによる情報収集や問題提起、課題への解決策の違いを知ることは、チームでの支援の充実の糧となり、同職種間だけでは得られない学びにもなっています。
在宅生活を支えるチーム
ケースごとに異なりますが、医師、看護師、歯科医師、歯科衛生士、ケアマネジャー、薬剤師、理学療法士、言語聴覚士、訪問介護員、医療ソーシャルワーカー、福祉住環境コーディネーター、福祉用具専門相談員、そして管理栄養士などの職種が関わります。一つの事業所内ではなく複数の事業所の複数の職種とつながるケースもあります。
在宅生活をしている方は、訪問だけでなく通所やショートステイの利用、入院する場合もしばしばあります。生活の場での支援には、施設や病院、地域包括支援センター、行政、ときには民生委員などの地域資源との連携も必要となることもあります。
食の場面での連携
ケアマネジャーを中心に関わる多職種から病状、摂食嚥下、食事、リハビリ、介護環境などの情報を収集して栄養アセスメントを行う、その時点で連携は始まっています。
医師、歯科医師、言語聴覚士、理学療法士などと連携して食形態や食べるときの姿勢や食べ方を調整、食品の購入や料理の用意、食事介助は訪問介護員と連携、喫食後の体重や体調の変化を医師、看護師、薬剤師と連携して確認、ケアマネジャーを通してチーム全体で共有する、などの流れは食の場面での連携の一例です。
サービス担当者会議
介護保険利用者の場合、ケアプランの作成や見直しのために「サービス担当者会議」が開催され本人、家族や多職種が集まる機会があります。それぞれの職種から最新の情報や方針を伺うことができます。支援者同士が食事の現場で顔を合わせることで、その場でより具体的に他の職種と連携した支援方法を検討できるよい機会にもなります。欠席する場合には照会という形で情報提供をします。
病院を退院するときに開催される退院時カンファレンスに参加できることもあります。入院中から、開催時には参加したい旨をケアマネジャーに希望しておくことも大切です。
多職種連携で心がけたいこと
まず、在宅や地域に関わる制度を理解しておくと、自分や周りの職種の役割を把握することができ、自分がどのような期待をされているかも見えてきます。
電話、FAX、メール、ICT、郵送などさまざまな形での情報交換が行われています。専門職や事業所内の専門用語ではなく、報告を受ける側にとってわかりやすい言葉で報告すること、速やかに情報を共有することを心がけましょう。そうすることで、他の職種からの情報も受け取りやすくなります。
病院や施設からの在宅利用やその反対のケースもよくあります。これらは今後増えることも予想され、同職種間での連携も重要視されています。
次回は「訪問栄養食事指導への扉を開けたい方へ」です。
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